視聴率速報が発表されたまさにその瞬間、テレビ朝日局内からは落胆の声が漏れたという。3月23日に放送された、元大阪市長の橋下徹氏と人気フリーアナ・羽鳥慎一を起用したスペシャル番組『橋下×羽鳥の新番組始めます!』の平均視聴率が9.9 %(関東地区、ビデオリサーチ調べ)と、思うように伸びなかったのだ。
「同時間帯4位で、正直言って惨敗と言ってもいい数字だった。『NHKニュース7』には勝てないとしても、『笑ってこらえて!』(日本テレビ系)、『トコトン掘り下げたい!』(TBS系)が視聴率二桁を取っているんですから最低でも二桁は超えないと…。5位の『世界の何だコレ!ミステリー』(フジテレビ系)とは視聴率でわずか0.1ポイントしか差がついていない。この結果に、関係者は一様に驚きを隠せないでいます」(テレビ局関係者)
この特番、レギュラー番組の“パイロット版”として制作されたものだった。
「今回の3時間特番は、4月から日曜日の昼帯に枠異動した『ビートたけしのTVタックル』の後番組『橋下×羽鳥の新番組(仮題)』としてレギュラー放送が予定されています。放送スタートまであと半月ですが、特番が視聴率をとれなかったことを受けて、番組内容を大幅に見直すことになるでしょう」(ある放送作家)
それにしてもなぜ、8年ぶりのバラエティー界復帰で注目された橋下氏の番組は視聴率をとれなかったのか? 同番組をチェックしていた他局の編成幹部が解説する。
「おそらく番組サイドは、橋下さんをキャスティングするのに精いっぱいで、演出にしてもセットにしても具体的な話を詰める時間がなかったのではないか。実際、あの番組を見て誰もが思うのがテンポの悪さです。しかも、橋下さんがものすごく周りに気を使っていて、いい人を演じようとしてるように見えてしまった。
視聴者が待ち望んでいたのは彼が思いっきり毒を吐く姿です。橋下さんのキャラクターを引き出せなかったことが、視聴率が思うように伸びなかった原因のひとつでしょう。関西地区の平均視聴率は14.6%でしたが、これは橋下さんをよく知っている人が多いからですが、政治家時代のような“毒”があればもっと数字は伸びたかもしれません」
元衆議院議員の東国原英夫氏も、ツイッターで「今のテレビ界に喝を入れるような画期的・斬新な企画・番組になると期待していた」「正直、物足りなさを感じた。単なる食べ歩き、TVタックル、マツコの知らない世界…みたいな企画だった」と指摘した。
多くのバラエティー番組の構成を手掛ける、ある人気放送作家も橋下演出プランをこう語るのだ。
「橋下さんのスタイルは、喧嘩屋です。府知事時代も市長時代も常に想定する具体的な敵がいました。テレビ界でもこの“喧嘩屋橋下”のキャラクターを活かした番組を作らないと、いい視聴率は望めないでしょう」
政治家時代、数々の斬新な手法で注目を集めてきた橋下氏。このまま笑顔のいい人キャラでいくのかあるいは、本来の毒舌キャラを発揮するのか。タレント橋下徹の手腕に注目だ。