マイナス金利下で最も注目されている投資先が「金」だ。「利息がつかない」というデメリットが消え、ますます存在感を増している。金の国際価格(NY金先物)は、2011年9月に1トロイオンスあたり1923ドルの史上最高値をつけてから4年以上の調整局面が続いてきた。が、昨年12月に1045ドルの安値をつけた後、上昇を始め、現在は1240ドル台まで上がっている。
『安いうちに今こそ金を買いなさい』(自由国民社)の著者で、横浜総合FP事務所代表の植田進氏は、次のように断言する。
「まだ金価格は安値水準にあると考えられる。今は絶好の買い場にあります」
植田氏はチャートを見て相場を分析するテクニカル分析によって金価格が中長期の上昇トレンドに入ったと見る。
「経験上、次の高値の目安は史上最高値から昨年12月の安値までの下落分の3分の1戻しの約1400ドル。そこを超えると、新たな高値の目安は倍返しの約2800ドルとなる。金価格は政治的・経済的有事が重なると、一気に上昇ピッチを早めるという特徴があります。今はテロの脅威や中国経済崩壊への懸念などがあるため、私は4~5年以内に2800ドルも超え、3000ドルまでいくと見ています」
金への投資法として一番簡単なのは純金バーや金貨などを購入することだ。
「純金バーは5グラムから購入できますが、500グラム未満の場合は購入時にスモールバー・チャージという加工料が取られるので、資金に余裕がある人向き。金貨は小分けにして売買でき、スモールバー・チャージも取られませんが、キズに弱く、売却時に買い叩かれる可能性があります」(同前)
なお、国内で金投資をする際は、国際価格を円に換算して売買される。円安になれば国際価格以上に国内価格は上昇し、円高になれば下落する。中長期的な円安傾向となれば、ダブルで価格上昇が期待できるのだ。
手元資金に余裕がない人には、月1000円から始められる純金積み立てという方法がある。これには月々の積立額を日割りにして購入するドル・コスト平均法が採用され、価格の高い時は少ない量、安い時は多い量を買うことになり、高値 みを避けられる。
「他にも、金価格に連動する金ETF(上場投資信託)がある。株と同じように購入でき、NISA(少額投資非課税制度)も利用できるので、年120万円までの投資なら売却益は非課税になります。三菱UFJ信託銀行の『金の果実』なら、1キログラム以上で現物への交換も可能です」(同前)
※週刊ポスト2016年4月8日号