コラム

個人型確定拠出年金 制度改正で一気に普及する可能性

 2001年10月からスタートした確定拠出年金が、今年、大きく変わろうとしている。制度の大幅改正により、誰でも加入が可能になる個人型確定拠出年金について、ファイナンシャルプランナーの松岡賢治氏が解説する。

 * * *
 国民年金や厚生年金などの公的年金や、企業が社員に対して支給する企業年金は、加入者が毎月一定額を拠出し(=積み立て)、国や企業が運用。将来給付する年金額を約束している点で確定給付年金と呼ばれる。

 一方、確定拠出年金は、毎月一定額を拠出する点は同じだが加入者本人が資金を運用するため、将来の年金額が運用次第で変わってくる。個人のみが加入できる個人型と、原則的に企業とその社員が加入する企業型の2種類がある。
 
 2015年11月末時点、企業型の加入者数は約546万人だが、個人型は約24万人と加入できる人の0.5%程度にとどまっており、個人型はほとんど普及していない。しかし、2016年に予定されている制度改正によって、一気に普及する可能性が出ている。

 現行制度では、個人型確定拠出年金に加入できるのは、自営業者等や勤務先に企業年金制度がない会社員に限られている。それが、今回の改正で、企業年金がある会社員や共済などに加入している公務員、そして主婦なども加入対象に含まれる見通し。したがって、20~60歳のあらゆる現役世代が、個人型確定拠出年金への加入ができることになるのだ。

 もともと、確定拠出年金は税制面でのメリットが大きい。個人型はまず、掛け金の全額が所得控除の対象となる。それにより、所得税や住民税を軽くすることができる。また、運用して得られる利益も非課税となる。

 通常、株式や投資信託の運用で得られる利益には20%の税金がかかる(分離課税の場合)。 さらに、年金として受け取る際は、雑所得として公的年金等控除の対象になり、一時金としてまとめて受け取った場合でも、退職所得として退職所得控除の対象となる。つまり、「拠出・運用・給付」の3つの段階で、それぞれ税制の優遇が受けられるのだ。税制面でのメリットは、NISA(少額投資非課税制度)を上回るといえよう。

※マネーポスト2016年春号

関連キーワード

関連記事

トピックス

希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
NASAが発表したアルテミス計画の宇宙服のデザイン(写真=AP/AFLO)
《日本人が月に降り立つ日は間近》月面探査最前線、JAXA「SLIM」とNASA「アルテミス計画」で日本の存在感が増大 インドとの共同計画や一般企業の取り組みも
週刊ポスト
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト