正田樹の野球人生は波乱万丈
群馬県代表として初めて夏の甲子園制覇(1999年)を果たした桐生第一高のエース・正田樹(34)は、NPB復帰の希望を捨てていない。正田は現在、独立リーグの愛媛マンダリンパイレーツで獅子奮迅の活躍を見せている。2014年、2015年は2年連続で最優秀防御率。2015年の独立リーグ日本一にも貢献し、年間MVPにも選出された。
堂々たる結果を引っさげ、昨年11月には、自身3度目となる12球団合同トライアウトに参加した。打者3人に無安打2三振だったが、NPB球団からのオファーはなかった。2016年も愛媛で3年目のシーズンを迎える。
練習場で練習が終わるのを待った。正田は「登板翌日なので軽めの調整」と謙遜したが、それでも1時間近くのランニングをこなしていた。
「なぜ諦めないのか」──不躾な記者の問いに、正田はきっぱりと答えた。
「子供の頃から夢見て、努力して、実際にプロ野球選手になれた。あのマウンドの充実感と緊張感を手放したくない。もちろん今も目指すのは日本最高の舞台であるNPBです。挑戦せずに後悔するより、無謀だと笑われても目指し続けたい」
正田の野球人生はまさに波瀾万丈だ。1999年ドラフト1位で日本ハムに入団。2002年に9勝を挙げて新人王に輝いたが、2007年に移籍した阪神では一軍登板がないまま2008年オフに戦力外通告を受けた。
その後、台湾・興農、ボストン・レッドソックスとのマイナー契約、独立リーグ・新潟アルビレックスを経て2011年オフにヤクルトで4年ぶりのNPB復帰。セットアッパーとして起用され、8年ぶりの勝ち星も挙げたが、2013年オフにまたも戦力外通告の憂き目に遭う。