「最近、新聞や本を離さないと読みにくくなった」と感じたら、老眼の始まりだ。老眼は文字通り、「目の老化現象」で、加齢によって水晶体のピント調整機能が低下するために起こる。
水晶体を動かしているのが、前述の毛様体筋だが、その筋力が加齢によって衰える。最近ではスマホやパソコンの長時間使用によって毛様体筋が疲弊して起きる「スマホ老眼」も増えており、高齢者だけに見られる症状ではなくなってきている。
これまで老眼は「病気ではないため、進行は防げない」と考えられてきたが、近年、“新治療法”が登場している。なかでも大きな注目を集めているのが「クラシック音楽療法」だ。提唱者の「丸山アレルギークリニック」院長の丸山修寛氏が言う。
「効果は人によって違いますが、当院を訪れた患者にクラシック音楽を聴かせたところ、老眼が改善したという方が既に複数いらっしゃいます。
その中には老眼鏡を手放せたばかりか、視力が0.4アップし、裸眼で生活できるようになったと明るく報告してくれたシニア世代もいました」
音で目が良くなるとは驚きだが、一体何が起きているのか。
「クラシックのCDを被験者に8分間聴かせたところ、脳の前頭前野の血流量が増加し、リラックス効果と脳機能の向上が見られました。目と脳は視神経乳頭によって直結しているため、視神経にもその効果が及び、結果、水晶体周辺の毛様体筋もほぐれたのだと考えられます」(丸山氏)
丸山氏によれば、クラシック音楽の中でも、特にモーツァルトの曲には、脳の神経系に作用する3500ヘルツ以上の高周波が多く含まれており、リラックス効果が他の音楽より高いという。そのため老眼などの症状改善に大きな期待がかけられている。
同療法の最大の強みは、何といってもそのお手軽さだ。毎日継続することが大事だが、いつでも好きな時に好きな時間(1~2分程度でも可)聴くだけで効果が表われるという。
※週刊ポスト2016年4月8日号