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同僚たちが野球を対象にした賭け 弁護士の見解は

 プロ野球の各チーム内で、高校野球が賭けの対象になっていたことが判明し、これが大きなニュースとなっている。ならば、一般人が会社の同僚同士で野球を対象に賭けをした場合、これは犯罪なのか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。

【相談】
 高校野球の甲子園大会が近づくと、職場で優勝校を予想する賭けが行なわれます。昨年までは私も参加していたのですが、巨人の野球賭博事件が発覚して以来、野球で賭けをすることに抵抗感があります。そこでお訊ねしますが、たとえ職場であっても、野球を対象に賭けをした場合、罪になりますか。

【回答】
 犯罪にはならないとはいえませんが、職場の仲間と付き合いでやっている程度では、処罰までされることはないでしょう。ただし、ささやかな娯楽で、他人に迷惑をかけることもない「賭け」でも、刑法で禁じています。

 その理由について、最高裁は「一見各人に任かされた自由行為に属し罪悪と称するに足りないようにも見えるが、勤労その他正当な原因に因るのでなく、単なる偶然の事情に因り財物の獲得を僥倖せんと相争うがごときは、国民をして怠惰浪費の弊風を生ぜしめ、健康で文化的な社会の基礎を成す勤労の美風(憲法二七条一項参照)を害するばかりでなく、甚だしきは暴行、脅迫、殺傷、強窃盗その他の副次的犯罪を誘発し又は国民経済の機能に重大な障害を与える恐れすらある」からだという見解を示しています。

 そうであれば、こうした弊風などを招きようもない程度の賭けの楽しみはあってもよいと思いますが、違法性がないと刑法が認めているのは「一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるとき」だけです。

 ゴルフのチョコレートが典型です。小額のお金なら許されるかですが、一時の娯楽に供するものとは簡単に消費されるもので、そもそも金銭は当たらないと解されています。よって、お金を賭ければ、形の上では賭博罪になります。

 とはいえ、小額でも処罰するようなことを本気でやれば警察も大変でしょう。職場の参加者が不満に思って警察に相談することが起き得ない程度の金額で行なえば、どこにもわからない仲間の楽しみとなり、トラブルに巻き込まれることはないはずです。

 ただ、それでも外から関心を抱く人もいます。もし、職場が周囲の関心を引いたり、公的な性格がある場合には、お金を賭けるのはやめたほうが無難だと思います。

【弁護士プロフィール】
◆竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。

※週刊ポスト2016年4月8日号

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