ヤクザ、マフィア、ギャング、黒社会と呼び名は違えども、世界各国に存在する暴力組織。時に公権力と激しく対峙しながらも、彼ら闇勢力は国家と常に密接な関係を築いてきた。
「マフィア」とは本来シチリア島を中心に活動する犯罪組織を指し、当地の「コーサ・ノストラ」の他、「ンドランゲタ」(カラブリア州)、「カモッラ」(ナポリ)、「サクラ・コローナ・ウニータ」(プッリャ州)が4大勢力とされる。多くは1800年代に興り現在の最大勢力はンドランゲタである。
FBIの報告によれば、4大勢力の国内総数は2万5000人、世界中の構成員を合わせると25万人にのぼる。
収入源は各組織共通して主に武器・麻薬取引、違法カジノ、誘拐、偽金作りなどで年間1000億ドルの資金が動いている。麻薬取引は欧州市場の8割を占め、資金洗浄での調達額は年間720億ドルに達し、伊GDPの3%に相当する。AFP通信の報道では、ンドランゲタの2013年における総売り上げは530億ユーロ(約7兆円)、ドイツ銀行とマクドナルドの総売り上げの合計を上回る額だったという。
第二次大戦後、政治家との癒着が進む一方、1980~1990年代は警察や検察関係者を次々に殺害し牽制してきた。政府はマフィア対策関連法、マフィア対策庁の設置などをしてきた。2014年8月コーサ・ノストラの最高幹部サルバトーレ・リイナが「ベルルスコーニは過去我々に、半年ごとに2億5000万ユーロを支払っていた」と供述したことが話題となった。近年はマフィアの多くの男性が逮捕・投獄され女性が幹部になる傾向がある。これはイタリアマフィアの弱体化の現れともされる。
※SAPIO2016年4月号