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NHK朝ドラ『あさが来た』まとめ by NEWSポストセブン

主人公あさを波瑠が演じた

 2016年4月2日に最終回を迎えたNHK連続テレビ小説『あさが来た』(2015年9月~2016年4月)。「五代さま」ブームなど数々の話題を作り、放送期間平均視聴率で、『あまちゃん』『花子とアン』『マッサン』といった近年の人気朝ドラを凌駕する21世紀最高視聴率を記録した。(2016年4月6日更新)

あらすじとヒロイン

NHK『あさが来た』公式HPより

 実業家で教育者として知られる広岡浅子(1849~1919年)をモデルに、幕末から明治を生き抜いたヒロイン・あさの物語を描く。

明治期に銀行経営、そして日本初の女子大(現・日本女子大学)設立に挑んだ

 あさは京都の豪商の次女で、良妻賢母を目指す姉とは対照的な、お転婆な娘として育つ。成長し、大阪の両替商の次男(新次郎)と結婚をするも、時代は明治に突入。両替商は時代遅れの商売となり倒産寸前の危機に。心機一転、炭坑の経営に乗り出すが、男社会ではあさの奮闘はなかなか認められない。しかし、大阪の発展に尽くす師(五代)との出会いを機に、銀行経営そして日本初の女子大の設立にも挑むドラマティックなストーリー。

NHK朝ドラ『あさが来た』モデル・広岡浅子の「九転十起」人生

『あさが来た』広岡浅子と『花子とアン』村岡花子の交流秘話

 

ヒロインは波瑠

朝ドラは小学生の時に観た『ちゅらさん』が好きだったという波瑠

「『純と愛』と『あまちゃん』は最終選考まで残ったんです」(波瑠)

  朝ドラのヒロインを演じたいとオーディションを受けたが、3作連続で落選。「残念な思いはありましたが、実際にドラマが始まってみると、やっぱり決定したヒロインのかたがピッタリなんです。ヒロインっていつも、はまり役なんですよね」(波瑠)、「波瑠さんは、あさそのものですよ。ここまで物語の中の人物になってくださって感動しかありません」(エグゼクティブ・プロデューサーの佐野元彦氏)

波瑠 タフになった成長ぶりにスタッフ舌巻く

「撮影当初は、義父・正吉役の近藤正臣さんが中心になって現場を引っ張り、盛り上げてくれていました。それが、正吉の死が迫っていて、現場も世代交代している。そんななかで波瑠さんは、これからは自分がみんなをまとめていくんだという自覚が強く、『これまでは“お父ちゃん”と呼んでいればよかったが、これからはみんなのお母さんにならなければならない』と意識されているようです」(制作関係者)

「びっくりぽん!」も流行。人気の要因は?

 2日に放送終了したNHK朝の連続テレビ小説「あさが来た」(全156回)の関東地区の平均視聴率が23.5%となり、21世紀に入ってから最高を記録したことが、ビデオリサーチの調べで分かった。これまでの今世紀最高は2002年度上半期に放送された「さくら」の23.3%だった。(出典:毎日新聞 2016年4月4日)

『あまちゃん』など、近年の朝ドラの最高視聴率を更新し、いまや国民的ドラマ

流行語大賞 2016年の審査すでに開始「びっくりぽん!」が有力

 

歴史資料館の来場者倍増 花子とアンに続くあさが来た効果

 ブームに一番“びっくりぽん”なのは、あさのモデル・広岡浅子のゆかりの地に住む人たちだった。史実によると、浅子が炭坑の採掘監督を始めたのは47才の頃。「資料館以外見る所がないのに沢山の人が来るから、朝ドラはやっぱりすごいね」(タクシー運転手)

炭坑跡地近くにある飯塚市歴史資料館

人気の理由を分析

女の一代記、頑固親父、決め台詞…好調理由を解説

「朝ドラ名物の頑固おやじがいること、決めセリフがあることなど、過去の朝ドラを研究した成果ともいえるテッパン要素が本当に多い」(コラムニスト・ペリー荻野氏)

有名ではない題材のため期待感持て人気との分析

「『あさが来た』は脚本を読んだ時、めちゃくちゃ面白くて、絶対人気出るだろうと思ったんです。でも、あまり騒がれず静かにスタートしました。ふたを開けてみれば、ありがたいことにお茶の間のみなさんが見てくれています。最近、ようやく芸人やタレントが“そんな面白いんや”って、騒いできました。遅いわって(笑い)」(うめ役・友近)

原案より柔らかいヒロイン像で共感得る

「原案だと、ヒロインのエネルギーにみんなが圧倒されて、ヒロインを見守っていくという形ですが、ドラマで描かれているのは圧倒的に強い女性ヒロインではありません。やわらかく、迷いもあるように描写されています。それに加えて、“女性の幸せってひとつじゃないよね”というメッセージが、複数の女性キャラクターを通じて伝えられている。そこが共感を得られやすいポイントだと思います」(朝ドラ評論家・田幸和歌子氏)

「主人公不在」で視聴者魅了した稀有な作品

「大胆に言えば、『あさが来た』は『主人公がいないドラマ』だった。もちろん、主人公は波瑠が演じる『白岡あさ』という設定。しかし、話題がスーパーヒロイン一人に集中するという通常のドラマ構成を発展させ、登場してくるさまざまな人一人一人が、それぞれの人生という物語を生きた。その意味では、『すべての人物が主人公』のドラマだった」(五感生活研究所代表・山下柚実氏)

「五代さま」ブームでディーン・フジオカが大人気

五代を演じるディーン・フジオカ

明治期の日本で、大阪経済の発展に尽力した五代友厚が重要人物として登場

 存在感を発揮するのが、「五代さま」こと五代才助(友厚)。薩摩弁に流暢なイングリッシュを操る長身のイイ男。主人公・あさと運命的な出会いを果たし、ビジネスのよき相談相手となる。

空前の“五代さまブーム”が起きる

「あさのことを仕事の面でしっかり支えて、困ったときには助けてくれる。しかも、あさのことを好きなのに、その気持ちを押し殺してやさしく接するあの笑顔…たまらない」(50代公務員女性)、「新次郎もいいけど、ふゆへの接し方を見ていると、ちょっとやさしすぎる。三味線のお師匠さんにだっていい顔をするし、五代の方があさに一途な感じ。新次郎から乗り換えればいいのに!」(20代会社員女性)

「あさに思いを寄せる理由が容姿にではなく、人間性や才覚に対してというシンデレラストーリーが小気味よい。女心のツボを押さえてますよね」(朝ドラ評論家・田幸和歌子氏)

ディーン・フジオカに問い合わせ殺到

 11月1日、NHK大阪ホールで行われた『あさが来た』のプレミアムトークショーにフジオカが出演すると、初めて生の姿を見られると2000人近くのファンが詰めかけた。「日本でのドラマ出演は今年が初めてですが、もう次のドラマ作品も決まり、出演依頼が後を絶たないようですよ」(テレビ局関係者)

『あさが来た』ディーンファンが大阪取引所の五代の像に殺到

 ドラマではディーン・フジオカが演じており、“五代ファン”であり“おディーン”LOVEの女性がそこに押しかけているのだ。「和歌山から来ました!まさかこんなところで五代様と会えるとは。この写真メールは友達に自慢しないと!」(48才女性)

大阪取引所入口に建つ五代友厚の銅像

五代が1月22日の放送で亡くなると、ショックを受け「五代ロス」になるファンが続出。中には著名人も

「いつまでも世の中に向かって闘うという五代さんのままで、私たちの前からいなくなりました。もう登場しないなんて、信じられません」(タレント・大桃美代子)、「元気になっていただきたいと思っていたのに…まだ心の整理がつかない」(NHK有働由美子アナ)

玉木宏、宮崎あおい、友近らの好演

両替屋「加野屋」の次男。あさの良き理解者

玉木宏演じる新次郎 女性に大人気の理由とは

 女性たちを魅了しているのが、あさの夫・新次郎(玉木宏)だ。「“わてには無理です”なんてへらへらしながら、ふわりと難問をかわしてくれる」(51才・主婦)「イケメンで気が多いように見せかけて、妻に一途。そのギャップと玉木宏さまの見目麗しさに朝からやられっぱなしです」(49才・会社員)

宮崎あおい ヒロインと並んで人気

 あさと並んで人気を集めているのが、宮崎あおい演じる姉のはつだ。現場では阿吽の呼吸を見せている。「この間も、萬田さんが宮崎さんと波瑠さんを誘って食事に行ってましたよ。お好み焼き屋や焼き肉屋などに時々誘っていらっしゃいます。宮崎さんは役作りもあるのか、ロケの待ち時間にずっとやっているのが刺繍。本当の妹さんにプレゼントするのだそうです」(制作関係者)

あさの姉。嫁ぎ先が没落も、幸せを見付ける

柄本佑演じるはつの夫・眉山惣兵衛。ぼんぼんで無愛想でマザコンで「白蛇」というあだ名を付けられる変人

 だが、放送を重ねるごとに惣兵衛ファンが増えている。「あのニタリという冷たい笑いをキモいと思っていたけれど、井戸の中ではつを抱きしめるシーンを見て、すっかり惣兵衛推しになりました」(64才主婦)、「陰湿キャラだったのに、ふとしたときに優しさが垣間見えて、目が離せません」(43才・パート)といった具合で、高視聴率の立役者となっている。

両替屋「山王寺屋」長男。維新後に農家へ

はつの姑・菊役の萬田久子の “嫁いびり”が激しくなるにつれ、視聴率がアップ

 

父は有名棋士の17才森下大地 藍之助はハマり役

 後半戦を盛り上げている一人が、はつの長男・眉山藍之助役の森下大地だ。今回の役でプチブレイク。「中高年の視聴者の間では“国民的息子”になりつつあります。天真爛漫で、知的で、育ちの良さを感じさせます」(イケメン評論家・沖直実氏)。知性が伝わってくるのは当然かもしれない。将棋の森下卓九段の長男なのだ。

叔母・あさの「加野屋」で修業を積む(森下大地・事務所公式HPより)

友近 芸人として培った観察眼が演技に直結

 あさを支える女中・うめを好演しているのが友近だ。「最近の朝ドラでは、女性芸人の出演が定番化していましたが、友近さんは別格。近藤正臣さんと風吹ジュンさんなどの実力派俳優がそろう中、演技面で浮いてしまうことはありません。今や“脇役の1人”というより、“ヒロイン・あさとの名コンビ”というポジションの印象すらあるくらいです」(テレビ解説者・木村隆志氏)

あさのお付き。振り回されながらも見守る

山内圭哉 デビュー作で夏目雅子と共演

 個性あふれる登場人物の中で、特に「眼力が半端ない」「ちょんまげ姿がかっこいい」との声が上がっているのが、加野屋・白岡家の大番頭・雁助だ。「なんでどすぅ?」と口をとがらせて後ろをついて回るあさをうっとうしそうにしながらも、なんだかんだで面倒を見てしまう優しい役柄。演じるのは山内圭哉(やまうち・たかや)だ。

山内圭哉演じる「雁助ロス」の影響大

 

『あさが来た』で注目の「平さん」 存在感際立つオモシロ味

「『あさが来た』で今、最も気になる人。あさでも千代でも藍之助でもはつでもない。雁助が加野屋を去ったタイミングで現れた、あの男。何についても“へい”“へぇ”“へへい”という返事。だから“平さん”と呼ばれている、無口でちょっと風変わりな人。“山崎平十郎”という人物が気になる」(五感生活研究所代表・山下柚実氏)

『あさ』抜擢の吉岡里帆 「ポストガッキー」との評価も

 2月から登場した田村宜(のぶ)役の吉岡里帆が「可愛いすぎる」と人気だ。「最後のブレイク候補が出てきた感じですね。まだ露出が少なく未知の存在。業界の注目度はダントツです。美少女で、脱いだらグラマラスで、製作側が使いたくなる要素を沢山持っているので、これから露出はグッと増えると思います」(テレビ解説者・木村隆志氏)

『あさの娘・千代の親友。あさを尊敬し、秘書見習いに(吉岡里帆・事務所HPより)

朝ドラ抜擢続く元グレチキ北原 人を惹きつける人柄と演技力

 懐かしい顔を見つけて「もしかしてあの人…?」と思った人も多かったのではないだろうか。炭鉱夫役を務めている北原雅樹だ。彼は90年代に一世を風靡したお笑いコンビ、「グレチキ」ことグレートチキンパワーズのツッコミ担当。2005年に解散し、表舞台からは消えてしまっていたが、なぜまた全国区のドラマに舞い戻ってこられたのか。

あさが買った炭鉱の炭鉱夫(北原雅樹・公式ブログより)

ナルさま 五代さまと対照的なダメ男ぶりで人気

 ディーン・フジオカ演じる五代友厚が死を迎えてから1か月。全国の女性ファンには「五代ロス」が広がっているが、入れ替わるように入ってきた新キャラクターに熱い注目が集まり始めている。その人物とは瀬戸康史演じる成澤泉(なるさわいずみ)。1月30日に初登場して以降、成澤に胸キュンしてしまったファンからは早くも、五代さまならぬ「ナルさま」という呼び名が聞こえてくるほどだ。

彼の女性教育への情熱があさを女子大設立に導く

出演者が語る『あさが来た』撮影秘話

あさと娘・千代、二人の子供時代を演じた

鈴木梨央「玉木宏さんとは緊張してしゃべれませんでした」

 大河ドラマと朝ドラ。両方のヒロインの子供時代を演じた子役は史上初!そんな快挙を成し遂げたのは、鈴木梨央だ。「玉木宏さんは声がすごくきれいで、笑顔が素敵。“赤いパチパチはん”をもらった時は、あさと同じでドキドキしちゃいました。でも緊張しすぎてしゃべれなくて…今すっごく後悔してます(笑い)」

升毅「台本に“こらっ、あさ!”は1回しか書かれていませんでした」

 あさの父・今井忠興役を演じる升毅が裏ネタを明かしてくれた。「実は、最初の撮影シーンで、“こらっ、あさ!”と言ったら、すごくしっくりきたんです。なんてシンプルで素敵な叱り方なんだろう!と。それからも随所に叱るシーンがありました。“あさ!”や“こら!”だけではもったいないと思い、監督と話し合って、できるだけ“こらっ、あさ!”にさせてもらいました」

小芝風花「波瑠さんと玉木宏さんは、空き時間も“千代、千代”って話し掛けてくれます」

 あさの娘・千代を演じるのは、小芝風花。「私も“おとうちゃん”“おかあちゃん”と呼んでいます。ふたりとも、普段からあさと新次郎みたいなんですよ。おかあちゃんが何か変なことを言うと、おとうちゃんが突っ込んでいます(笑い)。先日も、おかあちゃんがずっと両手を真横に伸ばしていたので不思議に思って見ていたら、おとうちゃんが“ほら、あほやなって顔して千代が見てんで”って」

あさとの母娘バトルに共感する視聴者も多い

近藤正臣「玉木くんの演技は“ええ塩梅出すなぁ”って思う」

 新次郎の父・正吉役の近藤正臣は、玉木の演技をこう評する。「彼の天性のものもあるだろうし、“この役をこういうふうに見せたい”という意志がものすごく強い。波瑠ちゃんがまたね、玉木くんの演技に触発されて、おもしろい。なんかね、2人とも好きなんだよ。まるで兄妹だね。そういう関係に、おれには見えてる」

若い俳優が多い中、現場を盛り立てた

辰巳琢郎「雑魚寝のシーンで本当に寝てしまいました」

 両替屋・山王寺屋の当主・眉山栄達を演じる辰巳琢郎に聞いた。──空き時間は?「併行して色々な仕事をしているので、原稿書いたり、電話連絡したりっていう感じですね。だから、掘っ建て小屋に集まって寝るというシーンがあって、みんな雑魚寝してたんですけど、ちょっと疲れてたのか、本当に寝てしまいましたね(笑い)」。──NGにはなりませんでしたか?「寝てるシーンだもん。リアルな最高の演技をしたと言ってほしい(笑い)」

西畑大吾「宮崎あおいさんがものすごくきれいでビックリしました」

 みかん農家を営む惣兵衛、はつ夫妻の次男・養之助として2月3日から登場したのが、関西ジャニーズJr.・西畑大吾。「みかん作りに生きがいを見出す役柄なので、みかんと寄り添うために、普段からみかんばっかり食べてるんです。そのせいかだんだん肌が黄色くなってきちゃったんですよ。ぼくは、亀助さんと一緒に現場で誕生日を祝ってもらいました。亀助さんは亀形のケーキでぼくはみかんケーキでした。またここでもみかんっていう(笑い)」

友近「うめは年齢不詳の女なんですよ」

 あさの女中役「うめ」を熱演している友近。「毎回配られる台本には、役名と、その役の年齢が書かれています。最初の台本では、45才くらいって書かれていたんです。それから明治維新になって、時代がどんどん進んでいって…。みんな新しい台本をもらうごとに新しい年齢が書かれていっていますが、今はうめだけ年齢が書かれていない」

「うめは何歳なの?」という声が多数

山内圭哉「波瑠ちゃんは夏目雅子さんにすごく似ていると思います」

 加野屋の大番頭・雁助を演じるのは山内圭哉に撮影の裏側を聞いた。「雁助を演じるに当たって、脚本に書かれていない設定をしっかり考えて役にのぞんでいます。雁助が嫁と子供に逃げられた理由が最大のお題ですね。玉木くんや波瑠ちゃんと盛り上がっています。“足が臭い”が今のところ有力ですかね。ぼくは、子役のときに映画『瀬戸内少年野球団』で夏目雅子さんと共演しましたが、波瑠さんと似ていると思うところがいくつかあります」

杉浦圭子アナ「語りの収録は、1話に2度行います」

「語り」を担当する杉浦圭子アナに裏側を聞いた。「放送が進むにつれて、あさにとって大切な人たちが亡くなっていきましたよね。正吉が亡くなったときに《正吉のいなくなった加野屋に、また新しい朝がやってまいりました》という語りがありました。このときも“あさは今、悲しみの中だけれど、託されたものを受け止めて、これからしっかり歩いて行ける。きっと彼女は大丈夫!”という思いを込めました」

脚本家・スタッフが語る撮影裏話

「“夜の連続テレビ小説”ができたなら、そこで書いてみたい」と大森氏

脚本担当・大森美香氏 妾の話を書かなかった意図語る

「お妾さんは、最初から出さないと決めていました。史実では、浅子さんが嫁ぐときに一緒にやってきた女中さんがお妾さんになります。浅子さんは、知らない人がお妾さんになるのを嫌がったんですね。ドラマに置き換えると、うめさんになります。このあたりの心情をきちんと考えて書かないと、あささんやうめさんの気持ちを踏みにじることになります。しかし、そこを丁寧に書くことは、かなりのボリュームになる…。すると、この物語のメインテーマを書き切れなくなってしまいます。ですから、書かないと決めました」

『あさが来た』五代様 ワイルド路線から切り替えたその瞬間

『あさが来た』 登場人物が魅力的だった理由を脚本家語る

 

エグゼクティブ・プロデューサーの佐野元彦氏が解説

NHK『あさが来た』公式HPより

ドラマ化を決定づけたあさのモデル広岡浅子の言葉

「第1次世界大戦の足音が聞こえていた1900年代前半、浅子さんは『これからの時代には女性のやわらかな力が必要になります』という言葉を残しています。物事を力尽くで解決する力でなく、そうではない力が必要ということを語っているわけです。その言葉を、その時代に言い切れる強さやポリシーが彼女にはあった。それを知って、この人をモデルにしたいと思ったんです」

波瑠をヒロインに選んだ理由は?

「波瑠さんは、今までどちらかというと静かな役が多いイメージでしたが、オーディションのなかで、グイグイ前に進んでいくキャラクターが似合う人なんじゃないかと感じるようになってきたんです。“みんなが知っている波瑠さんじゃない波瑠さん見っけ!”という感じで(笑い)。波瑠さんにしてみれば、“私はいつも前へ前への精神です”っていう気持ちかもしれませんが」

宮崎あおいが50人いれば…

「はつ役の宮崎あおいさんは、手の先から足の先までに気持ちが行きわたっている芝居をされます。例えば、第29回で、はつが畑であさと再会したときは、足の指にぐっと力を入れて緊張感を表現しています。“彼女のような人が50人いればハリウッドに勝てる”と周囲によく言っています」

あさの姉役を熱演

はつは史実では20代半ばで亡くなっているが…

「史実では20代半ばで亡くなっていますが、はつは最後まで物語に登場します。当初からその設定でした。あさが太陽なら、はつは月です。あさのように成功する女性だけが、明治を生き抜いたわけではありません。地に足が着いた名も知れぬ人がたくさんいたはずです。はつはその人たちを代表した人間で、だから農家にしました。これからも、はつにはいろいろな苦難が起こります。それでもしっかり生き続ける。最後は幸せになると思います」

最終回を前に…

「放送最後の2週間では、あさと新次郎、はつと惣兵衛という2組の夫婦が幸せになっていく姿をじっくり描きます。最終回は、あさが生きていた時代から、今の時代の人たち、つまり私たちへのメッセージを込めたものにしたいと考えています。また、朝ドラ史上初めて江戸時代を舞台にしました。男性の髪形はちょんまげです。朝から視聴者に受け入れてもらえるか不安は多少ありました。結果として、銭に細かいヒロインも幕末という時代設定も両方受け入れていただいたと思います」

4月2日に最終回を迎えた(玉木宏、波瑠、鈴木梨央)

衣装、かつら、セットにも工夫が…

衣装も人気の秘訣

衣装担当 登場人物のキャラを着物に反映させる

 衣装担当として着物選びを一手に引き受ける澤谷良さん(東京衣裳)は言う。「あさは、はつらつとしたイメージだから、赤などの原色を着せることが多い一方、はつは静かな性格なので寒色やパステルが主です。新次郎は、おしゃれでボンボンな雰囲気が出るように、わざと上下違う色の着物を合わせたりすることも。玉木(宏)さんは、着物を着なれていて、所作が圧倒的に美しい。ハンサムだと、何を着ても似合ってしまいますね(笑い)」

応接室はマッサン社長室 セット担当者の工夫

 撮影は、ほぼすべて、NHK大阪の200坪のスタジオで行われている。「加野銀行、あさの実家・今井家、はつが嫁いだ眉山家、加野屋、この4つは、1つのセットなんです。障子や襖などを変えています。例えば、加野屋を加野銀行にするとき、障子をガラスに変えました。あと、大阪商人が集う大阪商工会議所の応接室は、『マッサン』では鴨居商店の社長室でしたし、加野炭坑で炭坑夫が寝泊まりする部屋は、ウイスキーの樽小屋でした」

装置チーフ・市川康志さん(つむら工芸)

かつら担当チーフ プロの流儀を語る

「山王寺屋のお菊さん(萬田久子)の髪は、大きな丸髷です。大きすぎると笑われることもありますが、家が没落してもそのままにしています。髪飾りはなくなって少々髪が乱れても、それでも丸髷を保っている。これは、“いつかきっと山王寺屋を立て直す”と考えているお菊さんのプライドそのものなんです。また、はつ(宮崎あおい)が使っているかんざしは、かつて母の梨江さん(寺島しのぶ)が使っていたものを受け継いで形見にした設定です」

かつらチーフ・西口富美子さん(元禄フィルム)

『あさが来た』知られざる豆知識

超豪華な嫁入り道具一式 5000万円は下らない

 幕末の京都の豪商から大阪の両替屋に嫁いだあさ。儀式作法研究会代表・結納コーディネーターの岩上力さんが言う。「ちょっとした漆器でも、何十万円もして、それが何百点もあったようですし…。当時のお金で千両、今でいう5000万円は下らなかったと思われます」

『あさが来た』モデルの生家 今は京都のホテルで6500円~

 広岡浅子は1849年、豪商の三井家に生まれた。生家は、京都の油小路にあり、17才で大阪に嫁ぐまで過ごした。現在、その場所はどうなっているのか。京都駅から車で約15分、京都御所にほど近い場所を訪れてみると、出水橋のほとりに白壁のホテルが建っていた。外見は洋風で、大きな木や緑があり、自然を感じさせてくれる佇まいだ。

全94室、洋室も和室もある

千代の結婚相手が代わった背景に時代考証

 東柳啓介役との工藤阿須加。発表によれば、「あさの娘・千代の結婚相手」だという。「千代とはつの息子・藍之助を結婚させる筋書きが検討されていました。しかし、局内から“時代考証を専門家の先生にお願いしているなかで、あまりにも史実からかけ離れてしまう展開になるのはいかがなものか”と疑問視する声が上がり、より史実に沿った展開になったのです」(番組制作スタッフ)。史実では、はつのモデルに息子はいなかった。

『あさが来た』終了でどうなる?

“あさロス”対策は抜かりなし

「CMでは、みずほグループが朝ドラ一色。『あまちゃん』の福士蒼汰、『花子とアン』の鈴木亮平、『マッサン』の玉山鉄二が共演している。そして女性のCMクイーンは、『あまちゃん』の有村架純、松岡茉優、『純と愛』の吉田羊なのだから、朝ドラ効果は凄まじい。こうして、脇役陣がどんどん羽ばたいていくので、『あさが来た』のキャストたちの活躍も約束されたようなもの。現在、GUのCMで頻繁に露出がある波瑠は4月から『世界一難しい恋』(日本テレビ系)で嵐の大野智の相手役をするのだが、そこには“亀助”三宅弘城も出演する」(放送作家・山田美保子氏)

『あさが来た』スピンオフ(4月23日、BSプレミアム)も放送

 主役は、五代友厚、うめ、あるいは雁助…。そんな強敵を押しのけてスピンオフの主役に抜擢されたのが、加野屋で中番頭を務める亀助を演じる、三宅弘城だ。亀助がふゆの父親を説得して、彼女と結婚するまでの道のりが描かれるという。

ふゆ役の清原果耶は「美人」と話題に(NHKのHPより)

次の朝ドラは『とと姉ちゃん』

主題歌は宇多田ヒカル

ヒロインを演じるのは高畑充希

 4月4日にスタートするNHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』のスタジオ取材会が1月21日に開催され、ヒロイン小橋常子を演じる高畑充希のほか、その父役の西島秀俊、母役の木村多江、叔父役の向井理が出席した。同作品は、女性ばかりの家族が戦後の日本を駆け抜けていくという年代記。ヒロインの常子は、戦後の焼け野原の東京で「女のひとたちのために雑誌を作りたい」と出版社を設立。生活雑誌『あなたの暮し』を創刊し、女性たちを支えていく。

主人公は『暮らしの手帖』を発行する同社社長・大橋鎭子がモデル

 

 

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