芸能

独演会も開催する風間杜夫 落語に魅せられた理由とは

年間約30回の落語会を開く風間杜夫

 楽屋の風間杜夫(66)は、びっしりと鉛筆書きしたノートに目を通し、低く小さな声で噺をさらっている。茨城・下妻での落語独演会。この日用意した演目は「湯屋番」と「火焔太鼓」の2席。タバコをくゆらせながら、ひたすらノートを読み、呟き続ける。

 楽屋を出た風間は、出世作となった映画『蒲田行進曲』の出囃子が流れる中、高座に上がった。「世田谷三軒茶屋に生まれ、都会生活をしているので、下妻のような穏やかな所に来ると心が洗われます」と「まくら」を始めると、あっという間に観客たちはその軽妙な語りに引き込まれていった。風間の落語とのつき合いは長い。

「子どもの頃は茶の間にテレビがない時代でしたから、ラジオの寄席番組を楽しみにしていました。おじいちゃんが持っている落語全集に載っていた小噺をオープンリールのテープレコーダーに吹き込んで遊ぶような子どもでね。浅草での墓参りのついでに寄席に行ったり、デン助劇場や女剣劇みたいな大衆演劇に親に連れて行かれたりしていたから、いつしか日本の古典的な話芸にひかれていったんでしょうね」(風間。以下「」内同)

 俳優業のかたわらで、本格的に落語に取り組み始めたのは17年前。立川談春の独演会に誘われ、人前で初めて落語を披露した。このとき舞台袖で噺を聞いていた柳家小さんの孫である柳家花緑に、「いやー、風間さん、大したものです。お上手です。お見事です」と言われたことが、「落語家」風間杜夫のその後を決定づけた。風間は先の独演会の「まくら」で、そのときのことをこう開陳した。

「褒められて悪い気はしませんもので、私も『恐れ入ります』なんて言って聞いていたんですが、そのとき思いましたね、『柳家花緑という男、年は若いがさすがにサラブレッド、人を見る目が違う。褒める人間を間違えていない』とね。『それじゃあ、やってやろうじゃねえか』と調子に乗り、落語をやっているところがございます」

 言い終わらぬうちに会場はどっと笑いに包まれていた。風間は、落語に魅せられた理由をこう語る。

「歌舞伎の役者だったら女形ができるんですけど、僕らはできない。まあ、若い頃はオカマの役もやりましたけど(笑い)。落語の世界で、色っぽい年増の女将さんやお抱え者みたいなのをやっていると、楽しいんですよ。たとえば、桂文楽師匠で知られる『夢の酒』という噺では、焼き餅焼きの女房、ご新造さん、がさつな女中と3人の女性が出てくる。いろんな女性を演じられるのが、おもしろいんです」

 これまでに、風間は滑稽噺を中心に12本の古典落語をものにしてきた。

トピックス

10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン