2016年3月20日、兵庫県加古川市で驚愕の事件が起きた。小学生の男女から「たばこのポイ捨てはあかんのに」と注意された75才の無職男性が逆上。6才の小1男児の首を両手で絞めて逮捕されたのだ。この男性は「注意されて腹が立った」と容疑を認めたが、一歩間違えれば大惨事となる出来事だった。
暴走老人による同様の事件は、各地で続出している。2015年版犯罪白書によれば、一般刑法犯の検挙人数に占める65才以上の高齢者の割合は過去最高の18.8%に達した。17才前後の少年犯罪が相次いだおよそ15年前、新聞や雑誌は一斉に「キレる若者」という見出しを掲げたが、現在は「キレる老人」が世の中にあふれているのだ。
「ウチの運転手は、お年寄りの男性客にいきなり杖で顔面を殴られました。顔面が腫れて変色し、2週間も包帯を巻いたままでしたよ」
こうため息をつくのは、都内のタクシー会社社員だ。同僚のドライバーが運転中にややきつめのブレーキをかけてしまったところ、後部座席の高齢客が「危ないじゃないか!」と激高したという。
「『危険回避のため、急ブレーキをかけさせていただきました。本当にすみませんでした』と丁寧に謝罪しても、この客は聞く耳持たずで、手にしていた杖の持ち手部分でいきなり殴りかかってきたそうです。運転手が顔を殴られてけがをしたので警察に一応報告しましたが、会社は事を荒立てたくないので被害届は出さず、ドライバーは泣き寝入りです」(タクシー会社社員)
聞くに堪えない話だが、この社員は「そんなの、氷山の一角ですよ」と続ける。
「10年ほど前から高齢者によるトラブルが増えました。泥酔して暴れて、運転席と後部座席を遮る防護板を破壊した60代の男性もいました。また、乗車料金として五千円札をお預かりしたのに、納金袋に入れた途端、『お釣りが違う。万札を出したじゃない!』と猛クレームをつけたおばあさんもいます。あとで車内ビデオを見て確認したら確かに五千円札だったんですけどね…。
『錦糸町まで』と言われて到着すると、『おれは警視庁と言った! カネは払えん!』と怒鳴りまくり、結局、警視庁までタダで乗せたおじいさんもいます。何かとキレる高齢者の餌食となるタクシー業界はホトホト困っています」(前出・タクシー会社社員)
公共交通機関でも、高齢者による事件は多発している。JRや日本民営鉄道協会などが1年間に発生した鉄道係員への暴力を調査したところ、加害者の年齢は、60代以上が2014年度まで5年連続でトップ。全体の2割以上を占めた。私鉄関係者が明かす。
「中学生に席を譲られた高齢女性が『年寄り扱いしないで!』と激怒したり、高齢男性が通りすがりの車掌に『その態度は何だ! 謝れ!』と詰め寄って謝罪を求めることもある。ICカードのチャージの仕組みがどうしても理解できず、最後はキレて駅員に手を出した高齢者もいます。雨の日は恐怖ですよ。何しろ、凶器となる傘を持っていますからね…」
※女性セブン2016年4月21日号