胡錦濤・元国家主席の長男、胡海峰氏が近く、浙江省嘉興市長に就任することが分かった。現在の市長が浙江省党委員会に転出することが決まっているためで、序列的にも同市ナンバー3の胡氏の市長昇進は間違いないという。
一方、かつて「中国の最高実力者」といわれたトウ小平氏の孫のトウ卓棣(とう・たくてい)氏が広西チワン族自治区苹果県のナンバー2に昇格したことも明らかになった。
いずれも地方幹部とはいえ、2人とも同世代からみると、異例の出世で、ネット上では「サラブレッドはロケット出世が当たり前。党は実力ではなくて血統を大事にする」のように、当てつけともとれる書き込みがみられる。
胡海峰氏は1970年生まれの45歳。上海交通大学を卒業後、父の胡錦濤氏の出身校でもある名門、清華大大学院のビジネススクールを終え、同大が出資する国有企業の幹部に就任した。
胡氏は数年間、ビジネスの世界に身を置いたが、アフリカのナミビア政府に対して、空港で使う検査機器を売り込んだ際、不正があったと報じられ、同大の副秘書長に転身。その後、嘉興市にある同大の浙江清華長江デルタ研究院のトップに就任後、同市党委副書記に選出されていた。
香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」は「今回の市長就任で、行政部門でのキャリアを積み、今後、中央政界入りするのは確実」と報じている。
一方のトウ卓棣氏はトウ小平氏の5人の子どものうち、二男のトウ質方氏の長男。1985年生まれで、まだ30歳の若さだ。それだけに、地方の県のナンバー2とはいえ、それこそ「ロケット出世」といえよう。
これまでの卓棣氏の県政府での担当は、物価、法制度整備、農業問題、貧困問題だったが、県の党副書記として、今後は司法や腐敗対策、少数問題との融和問題など重要な行政問題が多くなっており、胡氏同様、「将来に備えて、党中央幹部の重要な一歩」(同紙)となりそうだ。
ネット上では「西側諸国も2世、3世の社会家が多いが、中国は西側諸国よりも『精鋭治国』だけに、両者のロケット出世は全然おかしくない」との肯定的な評価もあるが、「幹部の子は幹部。農民の子は農民と、いまの共産党政権は西側の政党と同じ」との批判的な声の方が断然多いようだ。