テーブルに置いてある甘ダレや七味唐辛子や粉末のお茶などを使い、寿司を自分好みの味にアレンジする。「寿司は江戸前しか認めない」という人は全く理解できないかもしれないが、学生など若年層を中心にアレンジする人は一定数いる。自己流に味付けして楽しむ“ちょい足しレシピ”が今、回転寿司ファンの間でブームになっている。
「目の前に職人の大将がいない、回転寿司らしい食べ方だと思います」(「かっぱ寿司」を運営するカッパ・クリエイト株式会社・河瀬エリアマネージャー)
そんなアレンジ寿司が目立つきっかけは、テレビ『お願い!ランキング』(テレビ朝日系)の“ちょい足し”コーナーだったよう。
「『かっぱ寿司』は王道の寿司のため、創作寿司には熱心ではありませんでした。お客様がアレンジしているのを受けて、力を入れるようになったんです」(前出・河瀬氏)
以降、明太マヨをサーモンやイカにかけるなど、定期的に創作寿司の新作を取り入れるようになったという。
『かっぱ寿司』のアレンジからいくつかを紹介しよう。強めのイカの味がクセになる「サラダ軍艦」に「ガリ」をプラスすると、マヨネーズにしつこさが消えさっぱりした味わいに。また、「いなり」は1皿で2つ提供されるが、そのうちのひとつには「ガリ」を、もうひとつには「わさび」をトッピング。すると、揚げの甘さの中にわさびのスパイシーさ、ガリの甘酸っぱさが加わり、1皿で2つの味を楽しめる。
最後に、その組み合わせはゲテモノでは? とぎょっとするものの、意外に合う逸品。「海老天うどん」と「イカ天」(※寿司なので酢飯に載っている)の組み合わせだ。酢飯の雑炊風になるが、うどんのつゆと合いサッパリ食べられる。
肩肘張らず、自由に楽しめる。これも回転寿司の奥深さのひとつだろう。
※週刊ポスト2016年4月15日号