昨今児童虐待のニュースがメディアを騒がせることも多くなっているが、虐待を受けている約4割が小学校入学前の乳幼児だという。子供自身が助けを求められないからこそ、周りの大人が行動を起こさねばならない。私たちがまずすべきことは地域の相談窓口への相談、児童相談所への通告、警察への通報だ。
「児童虐待の通告・通報は、法律で義務づけられています」と語るのは警視庁生活安全部少年育成課の担当者。私たちが通告・通報したら、どんなことが起こるのか。
「児童相談所への通告後、48時間以内に、子供の安全確認をします。虐待の兆候を発見した場合は、親子での面談や一時保護などの支援が行われます」(東京都児童相談センターの栗原博さん)
警察に通報した場合も、最寄りの交番から、ただちに警察官が対象の家庭を訪問し、子供の安全確認を実施する。虐待が疑われる場合は、警察が児童相談所へ通告し、一時保護などの措置をとってもらう。
児童相談所と警察、学校や保育園・幼稚園・病院などは連携がとられ、情報は共有されている。児童相談所に連絡した上で、被害児童が通う学校にも連絡すると、2か所から同様の情報が入ったということで、危機感が増すため、1か所で安心せず、複数の機関に連絡を入れるのも有効である。
連絡を入れるべきか、判断に迷った時は、まずはメモを取ってみてと、安全生活アドバイザーの佐伯幸子さんはアドバイスする。
「泣き声が激しいなど、自分の心にひっかかったら、どんな些細なことでも、まずはメモ。1~2回だけなら、たまたまかもしれませんが、3回同じことが起きたら通告・通報を。メモがあれば具体的な状況を説明できるのでいっそう強く危機感を伝えやすくなります」(佐伯さん)
何が起きているのか具体的な情報があるに越したことはないが、住所は特定できなくても構わないし、匿名でもいい。「あのマンションのあたりから泣き声が聞こえる」程度でも、児童相談所が場所を調査するので、とにかく通告・通報することが大切なのだ。
虐待じゃなければそれでいい。もし本当に虐待が行われていた場合、児童相談所や警察が、その家を訪ねるだけで、抑止効果になるのだから。
※女性セブン2016年4月21日号