福井県鯖江市は、日本製のめがね生産量の90%以上を占めるため、「めがねの聖地」と呼ばれている。
この地のめがね職人たちが2009年、「鯖江ギフト組」を結成。全国の百貨店やギフトショーなどでめがねの製造技術を応用したファッション小物など新しい商品を発表し、話題を呼んでいる。
「大阪で催事中に、お客様からルーペについて『かばんから取り出すのは面倒だから、指につけたらどうか』『ルーペは小さくてもいいから、商品の値段や賞味期限、原産地などの表示がわかればいい』など、高齢者ならではの貴重な意見をいただきました。
そこで、レンズ部分は小さく抑え、拡大率も約2倍という低倍率にし、見たい部分の文字をピンポイントで拡大できるルーペを開発しました」
そう話すのは、鯖江ギフト組の長を務める「乾レンズ」の諸井晴彦さんだ(以下、「」内同)。倍率の高いルーペの方がよく見えそうだが、なぜ低倍率にしたのだろうか?
「顕微鏡のように使うなら高倍率が必要ですが、拡大鏡として使うなら、低倍率の方が一瞬で数字や文字などにピントが合いやすいんです」
見やすさに合わせて、めがねフレームの加工技術を生かしたユニークなデザインも話題。“はらぺこあおむし”がモチーフの「ボビンルーペ」などの他、シニア女性に圧倒的な支持を受けているのは、直径4.5cmのレンズと鏡を組み合わせた「バタフライルーペ・コンパクト」(1万800円)だという。
「メイクの際に、自分の顔も拡大して見たい」という声に応え、鏡×レンズの組み合わせを考えたと諸井さんは言う。
「ルーペと鏡を重ねると、約8倍に拡大して見えるんです。それに日本製鏡の最高反射率は97%で、肌色のやわらかさを映し出してくれるので、気持ちよくお化粧できますよ」
※女性セブン2016年4月21日号