民進党政調会長の山尾志桜里・議員に対する「ガソリン地球5周分」は、過去何度となく繰り返されてきた「政界泥仕合」に発展しつつある。
山尾氏の政治資金収支報告書の2012年分に記載された「230万円」という高額のガソリン代が「地球5周分に相当する」と週刊新潮(4月7日号)が報じると、産経新聞をはじめとする“安倍派メディア”が一斉にこれを問題視。自民党議員たちも呼応して、「保育園落ちた」問題で安倍首相を追及する民進党ホープの追い落としに走った。
追い込まれた山尾氏だが、ここで意外な展開が。なんと、安倍政権の閣僚のガソリン代も高額であることが発覚。旧民主党のお家芸だった「批判のブーメラン」を自民党側がやらかしてしまったのだ。
なかでも安倍晋三首相は、2012年の573万円をはじめ、2013年は555万円、2014年も500万円と計上し、平均して「地球12周分」ものガソリン代を毎年記載していたことになる。
もっとも、山尾氏がプリペイドカードへの入金だったのに対して、安倍首相らは実費の上に、選挙区を回る地元スタッフの数も山尾氏とは比べものにならない。それでも、山尾氏が記者会見で「過去に在籍した秘書が不正請求した疑いがある」と言い出したことで、安倍氏らも説明に追われる可能性が出てきた。政治評論家の有馬晴海氏はいう。
「山尾氏が目立ったためマスコミや与党の調査の標的にされ、返す刀で与党側が調査されてブーメランになる。かつて小泉政権時の年金未納問題を思い出します。福田康夫・官房長官の未納が発覚し辞任に追い込まれた。ところがその後、菅直人氏や小沢一郎氏といった野党幹部の未納も発覚し、両党で何人もの幹部が辞任する事態になりました」
ガソリンをたっぷり積んだブーメランは、最終的に誰にぶつかり大炎上するか。
※週刊ポスト2016年4月22日号