鳩山由紀夫元首相が4月初旬、中国メディア訪日代表団と会見し、「日中関係悪化の原因は日本にある」と発言したほか、「日本政府は過去の侵略の歴史について真摯に反省し、中国政府に謝るべきだ」などと述べていたことが分かった。訪日団に加わっている中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報のウェブサイト「環球網」が伝えた。以下、その報道内容から引用する。
まず、鳩山氏はこう述べたという。
「安倍政権が日中関係を悪化させているのであり、両国関係の現状は非常に遺憾である。日本政府には逃れられない責任がある。中国脅威論をあおり立てるのをやめるべきだ。日本は勇気を出して歴史問題を正視し、両国関係を改善しなければならない」と前置き。
そのうえで、鳩山氏は「日本は今年から始まった中国の第13次5カ年計画や『一帯一路構想』戦略を利用させてもらって、日本経済が谷間から抜け出すことを助けてもらうべきだ」と語った。
また、尖閣諸島問題についても、「領有権問題は存在しない」との日本政府の立場について、「日本政府は過去の侵略の歴史を反省、謝罪しなければならない」として、「領有権をめぐる争いがある現状を明確に認めなければならない」と述べて、中国側の主張に同調する姿勢を改めて明らかにした。
続いて「中国経済は21世紀に入っても速いスピードで発展しており、中国が日本を追い抜いて、世界第2位の経済大国となったことに対して、日本が羨望や嫉妬、恨みを抱いている」と指摘。
さらに、「日本経済の長期低迷は日本社会に大きな影響を与え、日本人の自信が揺るいでおり、日本の右傾化が著しくなった大きな原因だ」と分析。このうえで、鳩山氏は「これに対して、安倍政権が何らかの刺激により経済を動かそうとしたことが、安全保障法制の整備を進めた理由の一つだ」と強調した。
鳩山氏は2009年9月から2010年6月まで総理大臣を務めたが、中国では「これらの親中的な発言について、なぜ現職の総理大臣時代に明らかにしなかったのか。いまとなっては遅すぎる。元首相に過ぎないから、何らの影響力もない」とのネットへの書き込みがみられる。