ファミレスの凋落、ファストフードの迷走を横目に業績を伸ばし、2014年には5600億円の市場規模を誇った回転寿司業界だが、2013年頃から成長の鈍化が指摘されている。
最大の要因である低価格競争から抜け出すべく、新たな進路へ舵を切った企業も出てきた。池袋駅前の『くら寿司』は豊富なサイドメニューで放課後の学生の取り込みに成功。『がってん寿司』はロードサイドで新たなブランドの展開を目論む。価格競争から、店や商品の個性で勝負する時代を見据える。
一方、『くら寿司』はTPP合意を受けてカリフォルニア米導入の検討を示唆。国産の聖域でもあった米でしか、もはやコスト削減の余地はないということだろう。魚介類の高騰により、原料調達コストは年々上がっている。回転寿司の原価率は40~50%といわれており、特に大規模店にとって円安のダメージは深刻だ。
サイドメニューの開発に注力した背景には、そんな事情も隠されている。
今後、大型店の多くは寿司に限らず和洋中様々なメニューを安く提供する“ファミレス化”を加速させるだろう。対する小中規模店はネタと職人の“質”に原点回帰しつつ、一層の差別化を迫られる。生き残りを懸けた回転寿司の二極化が進んでいくはずだ。
※週刊ポスト2016年4月15日号