ライフ

生きるのに必要な言葉の力 幼い頃の読書体験で身につくもの

 スペイン北東部の地中海岸にあり、交通の要衝として古代から栄えたカタルーニャ州。独自の歴史、伝統、習慣、言語を持つカタルーニャ人は、4月23日を祝日としている。男女は赤いバラを贈り合い、そして本を贈る。ちなみに4月23日は、小説『ドン・キホーテ』の作者ミゲル・デ・セルバンテスの命日であり、シェイクスピアの伝説の命日でもある。

 日本でもこの日は「子ども読書の日」と定められているが、若者の読書離れは止まらない。全国大学生活協同組合連合会が今年2月に発表した調査では、「本をまったく読まない」と答えた大学生の割合が45%を超え、2004年の調査開始から最も高い数字となった。

 また1日の平均読書時間は28.8分で前年より2.9分短縮する一方、1日のスマートフォンの平均利用時間は155.9分であり、読書の5倍以上の時間がスマホに費やされていた。

「人が生きるためには言葉の力が必要です。それは読む・書く・話す・聞くという4つの力です。これらの力は、幼い頃の読書体験で身につけることができます。しかし…」

 こうため息をもらすのは、絵本作家で公益財団法人文字・活字文化推進機構理事長の肥田美代子さんだ。日本人の読書離れに危機感を募らせる肥田さんは、最近の政府の動向にさらなる心配を重ねる。

 今年1月、政府・与党は消費税率を現行の8%から10%にアップする際、税率が軽くなる「軽減税率」の「書籍・雑誌」への適用について見送る方針を固めた。これで2017年4月に予定される消費税の増税時、「書籍・雑誌」が軽減税率の対象外となる可能性が強まった。つまり施行されると、これまで1080円で購入できた本が1100円の値となるのだ。

「図書館予算が年々減少している中で、書籍と雑誌に軽減税率が適用されないと、ますます本が割高になり、児童書も充分に買えなくなります。増税によって子供の知的な成長が妨げられるのは、社会にとって大問題です。文化や知識には課税しないという原則を作るべきです。これこそが未来への投資なのです」(肥田さん)

※女性セブン2016年4月28日号

関連キーワード

トピックス

六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
宮城県栗原市でクマと戦い生き残った秋田犬「テツ」(左の写真はサンプルです)
《熊と戦った秋田犬の壮絶な闘い》「愛犬が背中からダラダラと流血…」飼い主が語る緊迫の瞬間「扉を開けるとクマが1秒でこちらに飛びかかってきた」
NEWSポストセブン
高市早苗総理の”台湾有事発言”をめぐり、日中関係が冷え込んでいる(時事通信フォト)
【中国人観光客減少への本音】「高市さんはもう少し言い方を考えて」vs.「正直このまま来なくていい」消えた訪日客に浅草の人々が賛否、着物レンタル業者は“売上2〜3割減”見込みも
NEWSポストセブン
全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン