今後、日本でも「格差社会」の進行が確実視されている。収入の伸びが期待できない中で、家計を防衛するにはどうすればよいのか。経済アナリスト・森永卓郎氏は「今こそ、超節約モードで生活を防衛していく必要がある」という。以下、森永氏が解説する。
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昨年冬のボーナス支給額は、東証1部企業の平均が約73万円、中小企業を含めた全社平均が約37万円、国家公務員の平均が約72万となっています。勝ち組企業の社員と国家公務員だけが多額のボーナスをもらい、それ以外の一般庶民とは2倍以上の格差が出ているのです。
年金支給額はマクロ経済スライド(年金受給額を賃金や物価上昇分よりも低く抑える仕組み)のスタートで、もはや増える期待は持てません。一方で、社会保険料の負担は重くなっていく。その結果、さらに格差が拡大するとともに、多くの国民は格差社会の下流に落ちる可能性が高いのです。
その中で生き残るためには、まずは超節約モードで生活を防衛していく必要があります。
今後は物価が上がることが想定されます。そもそも政府・日銀がデフレ脱却を掲げてインフレ政策を行なっている上に、もし中東で戦争が勃発すればひどいインフレが日本を襲うことは避けられません。後から振り返れば、現在の物価水準は非常に低かったという可能性が高いのです。
そこで、まずお勧めしたいのは、缶詰やレトルト食品、パスタなど長く保存が可能な食料品を、まだ価格が安い今のうちに大量に買い込んで「備蓄」するという手法です。たとえば、東京の山手線圏内でも地域によって物価はまちまちです。同じ商品ができるだけ安く買える地域やスーパーなどを厳選して大量買いすれば、電車代をわざわざかけても十分にメリットのある買い物ができるはずです。
また、ネット通販を徹底活用する手も有効です。アマゾン、楽天市場、ヤフーショッピングなどのサイトには、いわゆる「訳あり品」も多く出品されていて、驚くほど安く手に入れることが可能です。
たとえば、昨年9月にJTが飲料事業から撤退したことに伴い、ネット通販でJTの飲料が信じられない値段で大量に販売されたのです。私も1本160円が正価の飲料を約30円という単価で大量購入できました。
ネット通販では、買い方も工夫すれば、そうした商品をさらに安く手に入れることが可能です。たとえば、楽天市場では、スーパーセールのキャンペーン時に10ショップ買い回りすると、ポイント還元率が10倍アップ、つまり実質10%引きになり、クレジットカードの楽天カードで決済すると、その上に3%引きで買うことができます。また、パソコンではなくスマホのアプリ経由で買うと、それだけでさらに1%引きとなるのです。
ネット通販では他にも、期間限定のポイントアップキャンペーンもたくさん実施されています。楽天でいうと、プロ野球の楽天イーグルスが試合に勝った翌日はプラス1%引き、サッカーのヴィッセル神戸が勝った翌日も同様、両チームが同日に勝った翌日は何と3%引きとなるのです。
このようなポイントを次々に積み上げる技を駆使すれば、目当ての商品をとんでもなく安く買うことができるのですから、そうした手間を惜しむのは大きな損といえるのです。
※マネーポスト2016年春号