男子バドミントン選手の裏カジノ賭博問題──。リオデジャネイロ五輪でメダル獲得が有力視されていたNTT東日本の桃田賢斗(21才)は、2012年のロンドン五輪代表で同じくNTT東日本の田児賢一(26才)に誘われて東京・墨田区の違法カジノ店に何度も出入りしていた。同店は雑居ビルの9階にあり、入り口には店名も看板も一切ない。
「店内には、バンカー(親)とプレイヤー(子)に配られたトランプの数字の大小を予想する『バカラ賭博』用のテーブルが2台あるだけ。それでも会員は350人を超えており、月に5000万円以上の売り上げがあったそうです。当然ながら、売り上げの一部は暴力団など闇社会に還元されています」(全国紙記者)
現在、裏カジノは東京だけでも100店舗以上あるといわれており、いずれの店も摘発を恐れて3か月に1度の頻度で移転を繰り返しているという。警戒心ゆえに、新規客は他の常連客の紹介がなければ入店できない。
桃田と田児以外にNTT東日本バドミントン部員6人が闇カジノ出入りしていたというが、有望な選手たちがなぜ違法なギャンブルに手を染めたのか──。
今回、ある実業団に所属するバドミントン選手A氏が匿名を条件に女性セブンの取材に応じた。彼は、裏カジノに出入りしていた6人のうちの1人、B氏の長年の友人だった。
「ぼくは、ずっとBから裏カジノについての相談を受けていました…」
こう切り出したA氏は事件の背景にいびつな「先輩―後輩関係」があると指摘する。
「報じられた6名の選手は全員、同じ高校の出身で田児の後輩に当たるんです。田児は部員のなかでも高校の後輩を“舎弟”として扱い、普段からパチンコやパチスロなどのギャンブルに連れ回していました。練習を休ませて裏カジノに連れていくことも多かったといいます」(A氏)
タテ社会の体育会において、先輩は絶対的な存在。田児には誰も逆らえなかったという。
「Bが言うには、田児は寮の部屋に土足で入ってきて、“オラ行くぞ”と無理矢理カジノに連れて行くそうです。“断ると殴られるので、従うしかないんだ”と泣きながら相談されたこともあります。田児は車の免許を持っていないので、運転手代わりにかり出される後輩もいたといいます」(A氏)
そんな部員のなかで、桃田は特殊な存在だったという。
「彼はもともと夜遊びが好きだった。“派手な生活がしたい”って公言しているような男ですからね。六本木のクラブを朝までハシゴして、赤羽の練習場に直行するなんてことも日常茶飯事だったとか。アンダーグラウンドな場所に出入りすることに対して抵抗感がないというか、そういう素地が最初からあったんです。実際、田児が桃田を裏カジノに誘うと、あっさりとハマったそうですから。
ただ、桃田はやはり天才で、二日酔いで練習しながらも試合をすれば誰よりも強い。結果を出している以上、コーチ陣も桃田には何も言えないんです。特別待遇ゆえに、私生活の乱れを諫める人間が周囲にいなかった」(A氏)
ボス猿の田児と天才肌の桃田。権力と実力ゆえに誰もふたりを止めることができず、結果、彼らは違法賭博の罠にハマっていった。
※女性セブン2016年4月28日号