角川映画40周年記念作品、「1000年に1人のアイドル」と銘打たれた橋本環奈の初主演映画『セーラー服と機関銃 -卒業-』がネットを中心にファンを獲得している。おそらく映画の広報宣伝側が狙ったのはキラキラした青春映画を好んで観る人たちだったが、実際にはそういった人たちは劇場へあまりやってこなかった。そのため3月5日の劇場公開以後、観客動員が不調だというネガティブなニュースが続いているが、実際に劇場へ足を運んだ人によるツイートとそのまとめをきっかけとして、映画好きな人たちを中心に高評価が広まりつつある。
「『天使すぎる』なんて形容詞がついたアイドルの映画なら観ないなと思っていたのですが、ネットでの評判を読んで映画館へ行きました。橋本環奈が、最初から最後まで組長らしくて驚かされましたよ。テレビのバラエティ番組に出ている彼女を見たときは、美少女顔にハスキーボイスのアンバランスさで違和感しかなかったんですが、組長にはぴったりでした。
次に出る映画は普通の青春学園モノらしいですね。アイドルとしての彼女のファンにはそういった作品の出演が嬉しいかもしれませんが、彼女には生きることの限界に挑むような作品にも出てもらいたいなあ」(30代女性)
橋本主演の今作は、実際に劇場へ足を運んだ人による評判は悪くない。しかし、2週間限定でリバイバル上映された、1981年の薬師丸ひろ子主演、相米慎二監督による映画『セーラー服と機関銃』のほうが、橋本主演の今作よりも客席が埋まるという皮肉な状況になった。だが、このチャンスにと、あえて2作品観て違いを楽しんだ人の満足度は高い。
「35年前の映画だって今作と同じでツッコミどころ満載です。薬師丸さんが少女らしい純粋さとまっすぐさで強いのと対照的に、橋本さんの場合、彼女自身が強い特別な人間になっている。彼女自身が格闘する場面はほとんどないのですが、ベテラン俳優を相手に姐さんとしてわたりあっていて、圧倒的な強さを感じさせます。
山で死体を埋めるための穴を掘るときとか、金属バットを持って歩く姿とか、仇を相手に銃をかまえるときとか、橋本さんのいい表情はたくさんあります。ただ、どれもアイドル映画じゃなくて、ヤクザ映画っぽいところばかりですが。確かに、同級生変死事件がストーリーにうまくはまっていなかったり、本格的だけど唐突なアクションシーンなどちぐはぐなところも目に付きます。でも、橋本さんの姐さんぶりだけでも観る価値がある。映画館でみて損はないと思いますよ」(40代男性)
最近、予告編が本編を裏切る映画が多い。予告編だけで判断せずに、橋本環奈の初主演作、映画『セーラー服と機関銃 -卒業-』は観に行った方がよいようだ。