コラム

制度改正の個人型確定拠出年金 金融機関選びの注意点

 2001年10月からスタートした確定拠出年金が、今年、大きく変わろうとしている。これによって20~60歳のあらゆる現役世代が、個人型確定拠出年金への加入ができることになるが、どこに口座を開設すれば良いのか? ファイナンシャルプランナーの松岡賢治氏が解説する。

 * * *
 個人型確定拠出年金を始めるにあたって、あまり知られていないハードルがある。それは、どこに口座を開設すればいいのかという「金融機関選び」だ。

 実は、個人型の利用にはコストがかかる。NISA(少額投資非課税制度)とは違って、口座を開設した金融機関に対して運営管理手数料を支払う必要がある。無料としているところもあるが、年間3000円台から5000円程度を徴収するところが多い(これ以外に、国民年金基金連合会と事務委託先金融機関に年間合計2004円徴収される)。

 また、金融機関によって、運用できる金融商品のラインナップに大きな差がある。10本以下から30本以上まで、かなりバラついている。ラインナップを事前にチェックしておかないと、せっかく口座開設をしたのに運用したい金融商品がなかった、という事態になりかねない。

 さらに、金融商品によってコストの違いがある点にも注意したい。確定拠出年金で運用する金融商品には、定期預金もあるが、ほとんどが投資信託(投信)だ。投信を購入すると、実際に運用している金融機関に信託報酬を支払わなければならない。この信託報酬は投信によって異なり、似たような運用内容の投信同士でも差があることは珍しくない。

 実際、国内の代表的な株価指数であるTOPIX(東証株価指数)に連動するインデックス型投信の場合、0.21%のところもあれば、0.62%のところもある。信託報酬は運用金額に応じて徴収されるため、残高が100万円の場合、0.4%の差は4000円の差になる。毎年徴収されるので、この差は無視できない。

 つまり、金融機関選びには、運営管理手数料のコストと金融商品のラインナップという、2つの考慮すべき条件が存在する。

 そして、厄介なのは、割安なコストと充実したラインナップを両立している金融機関が少ないこと。加入者が拠出する金額や、どういう運用をしたいのかによって、適した金融機関は変わってくる。運用を別の投信に替えたり、金融機関を変更したりすることは可能だが費用が発生してしまう。加入前には、事前の綿密なチェックが不可欠だ。

※マネーポスト2016年春号

関連記事

トピックス

希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
NASAが発表したアルテミス計画の宇宙服のデザイン(写真=AP/AFLO)
《日本人が月に降り立つ日は間近》月面探査最前線、JAXA「SLIM」とNASA「アルテミス計画」で日本の存在感が増大 インドとの共同計画や一般企業の取り組みも
週刊ポスト
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト