内科医で『突然死しないのはどっち?』(すばる舎刊)の著書がある池谷医院院長・池谷敏郎氏は、「突然死するかどうかは、日々の何気ない行動のほんの些細な差で決まる」と話す。「突然死」とは、直接の死因となる症状が現われてから24時間以内に死亡すること。突然死のリスクを避ける生活習慣を池谷氏に聞いた。
●通勤電車では足を「横に開いて立つ」か「縦に開いて立つ」か
「人間は1日のうちで座っている時間が長ければ長いほど、肥満や糖尿病になりやすく、脳や心臓の血管系の病気やがんの発症リスクまで高くなることが分かっています」(池谷氏)
突然死のリスクを回避するためにも、電車通勤の際には座らずに立っているほうがいいそうだ。問題は、どうやって立つか。
「足は肩幅程度に開いた位置から、さらに前後に開いて立つといい。電車が揺れた時にふくらはぎの筋肉が収縮して血行が促進されます。足を動かすのと同じ効果が得られ、有酸素運動の働きをするのです。ところが横に開いて立つと、揺れた時に体の側面に負荷がかかり、筋肉をあまり動かせません。踏ん張っても無酸素運動と同じ動作になる。これは血圧を上げることにつながってしまう」(池谷氏)
足を縦に開き、できれば爪先で立つとより効果的だ。
●運動するなら「ゴルフ」か「登山」か
この正解は、年代によって異なる。スポーツ中の突然死の相対危険率を示す統計によれば、40~59歳では登山、60歳以上ではゴルフのほうがより危険という結果が出ている。
「登山がかなり危険な運動であることには変わりありませんが、60歳以上でゴルフがより危険なのは、自律神経が不安定な早朝からコースに出ることや、気温が変化する中を長時間歩くことで血圧が上がりやすくなることなどが考えられます。夏場には脱水症状を起こす危険もある」(池谷氏)
さらに「勝ち負け」にこだわったり、打つ時に精神的なプレッシャーがかかることの影響もありそうだ。
※週刊ポスト2016年4月22日号