4月14日に最初の揺れが襲った熊本地震の被災地支援をめぐり、SNSでは様々な情報が飛び交っている。東日本大震災が起きた5年前にも、デマ交じりの呼びかけに振り回された人は少なくなかった。しかし、今回もまた、似たような詐欺まがいの資金や物資集めはなくなっていないようだ。
「Facebookで何度も募金のお願いがまわってきたので、なんとなくリンク先を見たとき驚きました。熊本でボランティア活動するためのお金を寄付してほしいと書いてあったのですが、振込先の銀行口座が個人名でした。このパターンは、ネットショッピングで気をつけなければいけないものと同じです。こんな怪しげな相手なのに、何十件もついているコメントを見ると『振り込みました』『物資送りました』という人が少なくなくて呆れました」(30代男性・IT関連会社勤務)
5年前に比べ現在は、ネット決済の手段が格段に多くなり手軽にネット経由で金銭を移動できるようになった。クラウドファンディングによる寄付についても認知が広まり、運営会社の審査を経ているだろうとあまり疑わない。しかし、支払いが手軽になっているぶん、本当にお金を出していいのか今まで以上に慎重になるべきだ。ネット上でも消費生活アドバイザーが「自然災害は悪質業者にとって格好の『ネタ』です」と注意を呼びかけている。
振込先が個人名であれば、自分は寄付したりしないという人も少なくない。しかし、社団法人やNPOを何年も前から名乗っている場合でも、簡単に信用してはならないと力説する人もいる。彼女は、東日本大震災を経験したおかげで慎重に行動するのが癖になった。
「ファンの芸能人が寄付を呼びかけていた団体へお金を降り込みました。ちゃんと法人だったし、きっと届けてもらえると信じていたから。でも、それは甘かった。出てきた活動報告を見て、びっくりしました。東北ではなく『国際交流活動に寄付しました』とあったんです。驚いて支出明細を知ろうとしましたが、総額しかわからなかった。募金の会計報告は義務じゃないらしいですね」(40代女性・団体職員)
寄付したことで失望した経験をしてからというもの、「寄付なら日赤。怪しいと思ったら団体名+トラブルで検索」を原則に彼女は被災地支援を続けている。怪しいなと感じたボランティアグループの場合、過去に別の被災地とトラブル起こしていることが多いそうだ。
SNS経由での情報は知人経由で知らされることも多いためか、あやふやでも信用する人が少なくない。せっかくネットにつながっているなら、寄付する前に検索して一呼吸おいてから決断するべきだ。