阪神が負けると機嫌が悪い──そんな迷惑な虎ファンは職場に珍しくないが、今年はどうも様子が違う。金本知憲・新監督(48)の熱血采配に「負けてもワクワクする!」と大絶賛の嵐なのである。
ファンの声を並べると褒めるところしかない金本阪神だが、それに引っ張られるナインはなかなか大変そう。金本監督、「ヤバイくらいにコワイ」からだ。身も凍るエピソードが出るわ出るわ。
就任間もない秋季キャンプ。甲子園での顔合わせの全体ミーティングで、キャプテン・鳥谷敬に、「お前が変わらないとチームが変わらない。すべての面で物足りなさすぎる!」と一喝。チーム全員を震え上がらせた。
高知・安芸でのキャンプイン初日には、コーチの注意に返事をしなかったピッチャーに「返事せいやコラ!」と怒声を浴びせた。高校野球の鬼監督並みの叱責に、ナインは首を縮めていたのである。
沖縄・宜野湾に移ってからも選手へのプレッシャーは止まらない。主力の元メジャーリーガー・西岡剛につけたニックネームを報道陣に公表するのだが、その名も「手抜きの神様」。西岡も「いつも監視されている……」と怯えた様子だったという。
鬼軍曹ぶりは“一戦必勝”の高校野球のような「特攻采配」に表われている。
3月25日の中日戦(開幕戦)に先発したメッセンジャーは、5回に出塁すると、敵チームもファンも驚くまさかの盗塁。4月5日の巨人戦では、3点リードの6回に主砲・ゴメスが来日後、1度しかやったことのなかった盗塁を決めた。
「もちろんベンチのサイン。春のキャンプで金本監督は“誰にでも盗塁のサインを出す”と宣言していたが、冗談ではなかった。投手でも主砲でも“走れないヤツは許さない”ということ。選手はサインを見逃すと殺されると思って、塁に出るとベンチを凝視している(笑い)」(スポーツ紙担当記者)
※週刊ポスト2016年4月29日号