小林よしのり氏が気炎を上げる。テレビ報道はもう終わった、と。向かう先は、「朝生」こと『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日)の司会者として、その道の先頭を走り続けてきた田原総一朗氏だ。同氏はまだまだテレビには力が残されている、と返す。高市早苗総務大臣の「停波発言」の波紋が収まらないなか、2人がマスコミの役割について語り合った。
田原:何だかんだと言っても、マスコミは国民が求めているものに答えなきゃいけない。その求めに応じなければ、視聴率はこないんですよ。国民の求めに応じるのがテレビだと思う。
これは筑紫哲也さんとよく話してたんだけど、筑紫さんはTBSで夜11時からのニュース番組を担当していて、要するに生存視聴率っていうのがあると。いくらいい番組をつくっても視聴率が7%以上取れなきゃ、理屈もへったくれもないと言っていた。ただ、10%以上取ろうと思うと今度は無理が出てくるわけ。まったく違う番組をつくらなきゃいけない。
だから、二人で7と10の間で勝負するんだとよく言ってました。『朝生』が今まで持っているのは、要は視聴率がいいからです。小林さんの絵が雑誌に載っかるのも、雑誌が売れるからですよ。小林さんの絵がまったく売れなかったら載っかりませんよ。
小林:そりゃ、商売を兼ねている部分はあるからね。けれども安倍政権批判をやると売れなくなる。わしも売れなきゃ何も言えないからね。
田原:安倍政権批判は売れないと思う。テレビも数字は取れない。批判はもう時代遅れ。今の日本人は、失われた20年で自信をなくしている。批判を聞くようなゆとりを持てなくなってしまった。確かに、アベノミクスは行き詰まってますよ。だからこそ、こうやればいいということを打ち出すべきだと思う。そういうものを出せば売れますよ。
僕はこの前の選挙のときも、その前の選挙のときも、野党の党首たちにアベノミクス批判なんてやめろと言った。ワタナベミクス、ハシモトミクス、あるいはオカダミクス、何でもいいから、俺たちならこうするということを打ち出せと言ったけど、どこも打ち出せなかった。そもそも民主党がダメになったのだって、批判が受けなくなったからでしょう。民主党は単なる自民党の批判でしかなかったから。
小林:民主党の挫折っていうのは、いろいろなものに影響を及ぼしちゃったね。