4月18日、東京六大学春季リーグで東大が12年ぶりに明大をサヨナラ勝ちで破り、大きな話題を呼んだ。振り返れば4月9日の開幕戦で、東大は早大に敗れて黒星スタートとなったが、いつもなら「今季もダメか」と諦めムードが漂うところでも、なぜか東大側の応援席は元気いっぱいだった。
「3年生のエース、宮台康平投手の存在が非常に大きい。初戦は不運なヒットで9回2死からサヨナラ負けしたものの、それまで早大打線を0点に抑え、東大では戦後最多となる13三振を奪いました。記録更新は実に70年ぶりです。だから今の東大には“今季はいける”という雰囲気が漲っている」(アマ野球担当記者)
宮台投手は神奈川県屈指の進学校である県立湘南高校出身で、高校3年の春には強豪校揃いの神奈川県大会でチームをベスト8に導いた。2014年春に東大に現役合格し、1年生の秋から六大学野球のマウンドに上がった。
「1年秋に痛めた肩の影響もあり、スタミナ不足が課題で、昨年は6回、100球前後で交代させるなど気を遣いながらの登板だった。昨年秋には右足裏を疲労骨折して戦線を離脱。しかし完治後はキャンプにも参加せず、都内で徹底的に走り込んだ。今では肩も完治し、走り込みの成果でスタミナ不足もかなり克服している」(前出・記者)
東大に負けると大騒ぎされ、この上ない「不名誉」を喫することになる他チームは、宮台投手に戦々恐々としているという。
「他大学は宮台が投げる試合にはエース級をぶつけるようにしているが、エースが投げても今季は負けてしまうかもしれない」(六大学野球関係者)
宮台投手の魅力は、左腕から繰り出す145キロの速球に加え、緩急をつけた頭脳的なピッチングができることで、プロのスカウトも注目しているという。2010年から東大の特別コーチを務めている元中日の谷沢健一氏の話。
「宮台は入学当初から本格的ないいピッチャーだった。東大生は講義優先で、練習不足からスタミナ不足になるのは仕方がないが、それでも宮台は着実にスタミナをつけて、120球は投げられるようになった。今季は期待できると思う。もともと素質は十分。左腕という強みもあるし、十分プロで通用すると思う。実際、スカウトにも高く評価されていますよ」
昨年春、リーグワーストの連敗記録94のストップに貢献したのも宮台投手だった。18年続く最下位からの脱出も夢ではない!?
※週刊ポスト2016年4月29日号