千葉市内から電車で30分の閑静な住宅街にある一戸建て。玄関前にはきれいに花が咲いた植木鉢が置かれている。インターホンを押すと、出てきたのは、高齢の夫婦。白髪の夫の傍らには、鼻に酸素を取り入れるチューブをつけた妻が佇んでいた。
「幸せな期間は3年間だけだったけど、幸せな時間をくれたと思っています。そのときに撮影した写真や動画は宝物で、今でも時々見ては主人と笑っています」
「3才から会っていないから…、会えないのは寂しいですね」
家の奥まで伸びるチューブをつけ、苦しそうに話す彼女は、先月離婚を発表した宮沢りえ(43才)の元夫Aさん(48才)の母親だ。りえにとってはかつての義母。りえの娘にとっては祖母にあたる。
りえが元プロサーファーで実業家のAさんとできちゃった結婚したのは2009年のこと。しかし3年後の2012年に離婚協議中であることを発表し、4年間に及ぶ離婚協議の末、今年3月に離婚が成立した。2009年5月に誕生した娘は、今年の4月、小学校に入学。でも、ランドセルを背負った孫の晴れ姿を祖父母が見ることは叶わなかった。
「もう4年近く会っていません。小学校に入ったことは知っているけれど、写真が送られてくるわけでもないので…。3才までのかわいい姿を見させてもらったから、いい思い出をもらったなってプラスに考えるようにしているの」(義母)
りえにもりえの生き方がある。若いふたりで決めたことだから、仕方がない。そう言いながらも、Aさんの話になると声が沈んだ。
「息子がかわいそうでね。3年間、一生懸命イクメンをして孫もいちばんなついていましたから。息子なりにいろいろ考えて運動神経を鍛えようとしたりね。会えないのはかわいそうだな、って」(義母)
りえとAさんの離婚協議が長引いた原因の1つに親権争いがあったといわれている。慰謝料を払ってでも親権を得たいりえと、親権だけは譲らないと裁判を辞さないAさんの間で協議はもつれにもつれた。義母が肺を患い、倒れたのは離婚協議中の1年前のことだという。親権を得たのはりえとされていて、義母の話によれば、Aさんすらも娘に会えていない状況のようだ。
しかし、離婚して親権を失ったとしても「面会交流」は認められているはず。離婚問題に詳しい長瀬佑志弁護士が言う。
「親権を持たない親が子供に会う機会は基本的に面会交流として認められています。ただし、“面会が子供の健全な成長を妨げる可能性がある”と裁判所に判断されると拒否されることがあります。例えば、虐待をしていた場合や、子供が“望んでいない”場合です。
面会交流の可否や方法は当事者同士で話し合われますが、まとまらないことや、約束が反故にされることは少なくありません。その場合、裁判所に面会交流の調停を申し立て、可否や方法を検討してもらうことになります」
「もう孫には会えないのかな…またいつか会えれば」――老いた祖母はポツリと話すと頭を下げて玄関を閉めた。
※女性セブン2016年5月5日号