「2050年の日本」は活力と魅力ある新型超大国として栄えるという大胆な予測の書『JAPAN RESTORED(日本復興)』がアメリカで出版され、話題となっている。著者のクライド・プレストウィッツ氏は、レーガン政権時に商務長官顧問を務め、自動車や半導体貿易交渉の前面に立ち、ジャパン・バッシャー(日本を叩く者)として知られた人物だ。同氏は、日本が「2050年に経済成長率4.5%」を実現すると予測する。その背景について、産経新聞ワシントン駐在客員特派員の古森義久氏が、プレストウィッツ氏に聞いた。
──2050年の日本経済について、『日本復興』では「GDP成長率4.5%」と予測している。米中両国の成長率を越えるということだが、そのシナリオの根拠はなにか。
「中国は高齢化が進み、労働人口も縮小している。アメリカも中国ほどではないが、高齢化が進む。一方、日本は本書のシナリオでは人口が増え、平均年齢も下がる。
そのうえ地方では農協の力がなくなり、農地が一般に広く利用可能となる。農業も現在のような米作中心から多様になるだろう。国民の生活も東京への一極集中から地方分散が進み、新たな住宅建設などで国内需要が画期的に増大する。
加えて日本が現在でも世界的に優れている最先端の高度技術、マイクロバイオロジー、ナノテクノロジーなどをさらに発展させれば、経済成長にさらに寄与する」
──経済成長の前提として、2050年には人口も大幅に増えると指摘されている。
「日本のいまの出生率1.4程度を引き上げるにはまず妊娠中絶を減らすことだと思う。日本が世界でも中絶件数が多いのは、戸籍制度の硬直性にも原因がある。未婚の母が産んだ子供も戸籍で差別されないように制度を変えればよい。
さらに重要なのは、既婚の働いている女性が子供を産んでも働き続けられるよう、保育園や幼稚園を大幅に増やすことだ。日本企業が女性社員の産休や育児休暇を大幅に延ばして、最長5年ほどにする。フランスやスウェーデンを模範にすればよい。これで日本の出生率は2.0を超えるだろう。
もう一つ、日本では高齢者介護に多数の外国人が必要になるだろう。インドネシアやフィリピンからすでに介護職員が入っているが、それを大幅に増やし、移民扱いにして、日本人男性との結婚を奨励すればよい。これも出生率の引き上げ要因となる」