芸能

惨敗『OUR HOUSE』 春ドラ最下位になった理由を分析

厳しい船出となった『OUR HOUSE』(公式HPより)

 4月17日にスタートした『OUR HOUSE』の初回視聴率4.8%の大惨敗。人気子役・芦田愛菜とシャーロット・ケイト・フォックスのダブル主演で放送前から話題を集めていたが、ふたを開けてみればこの春ドラマで最下位の成績となった。いったいなぜこんな結果に? テレビ解説者の木村隆志さんが指摘する。

 * * *
『OUR HOUSE』は、フジテレビが3年ぶりに日曜21時のドラマ枠を復活させた鳴り物入りの作品ですが、その意気込みが裏目に出ています。

 同作には、芦田愛菜さんとシャーロット・ケイト・フォックスさんのダブルヒロイン、堀北真希さんとの「交際0日婚」が話題となった山本耕史さんに類似の設定、加藤清史郎さんや寺田心さんらスター子役の集合、脚本・野島伸司さん+演出・永山耕三さんのレジェンドスタッフ、主題歌にオフコースの『愛を止めないで』など、「これでもか!」というほどのトピックが用意されました。

 しかし、これはあくまで企画書上の話。ズラリそろえたキャストやスタッフは実績こそあるものの、「今が旬」という強烈な力で牽引する人がいるわけではなく、それぞれが足し算になっていません。その点、松本潤さんという強烈な牽引役を立てた裏番組の『99.9%-刑事専門弁護士-』(TBS系)とは対照的です。

 また、内容も「中学1年生の少女vs外国人後妻」という思い切った変化球の『OUR HOUSE』に対して、『99.9%-刑事専門弁護士-』は「法廷モノに刑事モノの要素を加えた」直球とこちらも対照的。放送前からの違和感に加え、愛菜さんが巻き舌で「うっかり八兵衛」「寝た子を起こすな」などの昭和風セリフをまくし立てるほど、シャーロットさんが英語混じりのカタコト日本語で話すほど、制作側の過剰な意図を感じた視聴者は多い気がします。

 変化球以上に厳しかったのは、60年の歴史を持ち『半沢直樹』『下町ロケット』(ともにTBS系)など常に直球勝負でヒット作を連発する『日曜劇場』に“対等の投げ合い”を挑んだこと。直球に対抗するためには、七色の変化球を用意するのではなく、むしろ「いったん負けを認めた上で、脱力して投げる」下から目線のスローボールが最適でした。かつて、『日曜劇場』の大作『JIN-仁-』(TBS系)にのらりくらりとついていった『マルモのおきて』(フジテレビ系)は、まさにスローボールであり、決して変化球ではなかったのです。

 特にドラマファンは、3年前にフジテレビの『ドラマチック・サンデー』が、TBSの『日曜劇場』に大差をつけられて撤退したことを覚えています。やはりドラマ枠復活の編成そのものが苦しかった部分は否めませんし、対等目線での勝負はリスクが高かったのではないでしょうか。

 今や「視聴率は1つの指標」という認識になりつつありますが、初回からここまで低調となると、キャストの精神状態が気がかりです。相変わらず愛菜さんのセリフ回しは達者であり、主演女優の佇まいそのもの。また、子役4人の会話シーンは微笑ましいホームドラマのそれを感じるだけに、脚本・演出をスッキリさせるなど変化球を抑えることで、多くの人が見やすい作品になってほしい……と願っています。

【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20~25本のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』などに出演。さらに、タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』など。


関連記事

トピックス

母の日に家族写真を公開した大谷翔平(写真/共同通信社)
《長女誕生から1か月》大谷翔平夫人・真美子さん、“伝説の家政婦”タサン志麻さんの食事・育児メソッドに傾倒 長女のお披露目は夏のオールスターゲームか 
女性セブン
万博初日、愛子さまは爽やかな水色のセットアップで視察された(2025年5月9日、撮影/JMPA)
《雅子さまとお揃いパンツスーツ》万博視察の愛子さま“親子シミラールック”を取り入れたコーデに「ネックレスのデザインも相似形でした」【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
ぐんぐん上昇する女優たちのCMギャラ(左から新垣結衣、吉永小百合、松嶋菜々子/時事通信フォト)
【有名女優のCMギャラ一覧表】1億円の大台は80代と50代の2人 10本超出演の永野芽郁は「CM全削除なら5億円近く吹っ飛ぶ」の声も
週刊ポスト
違法薬物を所持したとして職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(Instagramより)
《美女・ホテル・覚せい剤…》元レーサム会長は地元では「ヤンチャ少年」と有名 キャバ嬢・セクシー女優にもアテンダーから声がかかり…お手当「100万円超」証言
NEWSポストセブン
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)
【独占直撃】元フジテレビアナAさんが中居正広氏側の“反論”に胸中告白「これまで聞いていた内容と違うので困惑しています…」
NEWSポストセブン
不倫報道の渦中、2人は
《憔悴の永野芽郁と夜の日比谷でニアミス》不倫騒動の田中圭が舞台終了後に直行した意外な帰宅先は
NEWSポストセブン
「全国赤十字大会」に出席された雅子さま(2025年5月13日、撮影/JMPA)
《愛子さまも職員として会場入り》皇后雅子さま、「全国赤十字大会」に“定番コーデ“でご出席 知性と上品さを感じさせる「ネイビー×白」のバイカラーファッション
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(Instagramより)
〈シ◯ブ中なわけねいだろwww〉レースクイーンにグラビア…レーサム元会長と覚醒剤で逮捕された美女共犯者・奥本美穂容疑者(32)の“輝かしい経歴”と“スピリチュアルなSNS”
NEWSポストセブン
永野芽郁のCMについに“降板ドミノ”
《永野芽郁はゲッソリ》ついに始まった“CM降板ドミノ” ラジオ収録はスタッフが“厳戒態勢”も、懸念される「本人の憔悴」【田中圭との不倫報道】
NEWSポストセブン
スタッフの対応に批判が殺到する事態に(Xより)
《“シュシュ女”ネット上の誹謗中傷は名誉毀損に》K-POPフェスで韓流ファンの怒りをかった女性スタッフに同情の声…運営会社は「勤務態度に不適切な点があった」
NEWSポストセブン
現行犯逮捕された戸田容疑者と、血痕が残っていた犯行直後の現場(時事通信社/読者提供)
《動機は教育虐待》「3階建ての立派な豪邸にアパート経営も…」戸田佳孝容疑者(43)の“裕福な家庭環境”【東大前駅・無差別切りつけ】
NEWSポストセブン
憔悴した様子の永野芽郁
《憔悴の近影》永野芽郁、頬がこけ、目元を腫らして…移動時には“厳戒態勢”「事務所車までダッシュ」【田中圭との不倫報道】
NEWSポストセブン