4月14日に熊本地震が発生して以来、ネット上ではいつも以上に炎上騒動が増えている。これまでも何度も繰り返されてきた騒ぎだ。ネットニュース編集者の中川淳一郎氏が「不謹慎」をキーワードに燃え上がるネット炎上の無駄について、解説する。
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熊本地震により、災害時にお馴染みの悪夢の展開がネットでは発生している。「『不謹慎』さに気づく善良なる迷惑者」の存在である。
被災地への配慮をネット上に書き込むことは良いのだが、昨今発生するのは「他の人が気付かなかったことを気づいたオレエライアピール」である。そしてこれらは往々にして重箱の隅をつつくようなどうでもいいことであり、なんの益ももたらさないばかりか、これに共感した愚者の増殖をも発生させるという悶絶の展開になってしまうのだ。それでいて本人は、自分がいかに細かいところまで配慮が至っているかと悦に入っているのだからタチが悪い。
地震のさなか、阿蘇山が1か月半ぶりに噴火した。阿蘇山は時々噴火しているので、通常であればそれほど注目はされないもので、規模にしてもマグマが飛び出し、倒壊した家屋を飲みこむとかそういったレベルではない。熊本が被災している中、追い打ちをかけるかのように発生した噴火に、地元の事情を知らぬ者達は戦慄した。
そこで何が始まるかと思えば裁判傍聴芸人・阿曽山大噴火に対する自粛勧告と改名提案である。こんなツイートがある。いずれも本人に@をつけてメンションを送っている。
〈実際阿蘇山が“大噴火”したら、阿蘇山大噴火さんは改名しなきゃダメになるのかな?、なんて話をしている今日この頃です。〉
〈震災があったのにその芸名って不謹慎ですね。自粛した方がいいんじゃないですか?〉
余計なお世話だ。しかも一つ目のツイートは名前を間違えている。「阿蘇山」ではなく「阿曽山」だ。どちらの発言者もつまらない連中と推測されるが、実際にこうした意見により改名を余儀なくされた例もある。