新編「大坂編」に入り、視聴率好調のNHK大河ドラマ『真田丸』。その魅力の一つが、三谷幸喜・脚本が描く個性豊かな武将のキャラクターだ。戦乱の世を生き抜いた彼らの「末裔」を訪ねた。
武田信玄から数えて16代目の当主が武田邦信氏(67)だ。
「『真田丸』は毎回楽しく観ているのですが、信玄公の四男・武田勝頼公(平岳大)が自害する第2話だけは見ていないんですよ。祖先が自害するところを見るのは忍びなくて……。ちなみに勝頼の死で武田家は滅んでしまいますが、私は出家した次男の信親の家系となります」
これまで幾度となく大河ドラマに登場している武田信玄。そのたびに周囲に様々な影響が出るという。
「1988年、中井貴一さんが演じた『武田信玄』では、正室三条夫人が側室につらくあたる役でした。そのせいなのか、放送中は菩提寺である山梨県甲府市の円光院の観光客が減ってしまったといいます。逆に、2007年の『風林火山』では三条夫人が側室たちを温泉旅行に連れて行くという史実を入れてくれたので円光院の客も増えました(笑い)」
邦信氏は大手商社を退職後、現在は法務省の人権擁護委員、国連UNHCR協会の理事を務める。当主としても多忙だ。
「武田家家臣の末裔で構成される『武田家旧温会』とともに、信玄公の命日法要や慰霊祭などの行事に参加しています。最近は17代目となる長男がこの仕事を引き継いでくれるようになりました」
※週刊ポスト2016年5月6・13日号