近年、鉄道車両はインテリア・エクステリアの両面で有名デザイナーを起用する潮流にある。そのパイオニアは水戸岡鋭治さんで、クルーズトレインとして予約が殺到しているJR九州の「ななつ星in九州」を手がけたことでも知られる。水戸岡デザインは、いまでは岡山電気軌道の「momo」や和歌山電鉄「たま電車」、富士急行「富士登山電車」など、各所で話題になった。その効果は絶大で、観光客は増加している。
利用者を呼び込もうとするのは、地方路線ばかりではない。東京・大阪といった大都市圏でも事情は同じだ。
3月には、西武鉄道は25年ぶりに新型特急を2018(平成30)年にデビューさせると発表した。その新型特急の外観は、まるで鉄砲の弾丸を思わせる。とても鉄道には思えないような車両は、建築界のノーベル賞とも言われるブリツカー賞を受賞した妹島和世さんがデザインした。
さらに、西武は長年にわたって親しまれてきた黄色い電車を減らしつつある。伝統の黄色い電車を減らす目的は何なのか?
「2009(平成21)年にオーナーだった堤義明さんが証券取引法違反で逮捕されて以降、西武鉄道はイメージアップに努めました。伝統色の黄色を変えようとするのは、イメージチェンジ、新生・西武をアピールするためです」(同前)
鉄道は安全第一という制約があるため、車両構造をいじるのは難しい。しかし、カラーリングを変えるだけなら安全性を脅かすことはない。
色を変えて全国から話題を集める。つまり、鉄道というコンテンツは“ネタ化”しつつあると言える。
さて、次はどんな車両が私たちを驚かせてくれるのか?