連日テレビや新聞で報じられる熊本地震の被害状況に、「明日は我が身か」と身構えている人も少なくないだろう。同じ規模の地震がもしも大都市で起こったら、さらなる大惨事となることは間違いない。
2013年12月に国の有識者会議が発表した被害想定によれば、首都直下型地震による死者数は、最悪の場合約2万人、建物全壊・焼失棟数は約61万棟に上るという。首都直下型の大地震が起きたとき、様々な状況下において我々はいったいどんな行動をとればいいのか。「究極の二択」があなたの生死を分ける──。
【アクアラインを通っていたら、車外に逃げるか、車内にとどまるか】
東京湾を横断する全長15.1kmに及ぶ東京湾アクアライン。川崎側からは9.6kmの海底トンネル「アクアトンネル」がパーキングエリア「海ほたる」まで延びている。ここを走行中に激しい揺れに襲われたらどうするか。災害危機管理アドバイザーの和田隆昌氏が話す。
「アクアトンネルは強固な構造のなかに特殊な防水処置が施されていて、破損や浸水、水没はまず起こりません。
一番怖いのはトンネル火災なので、すみやかに車外に出て、緊急用の床板下避難路に逃げ込みましょう。避難路に通じる非常口は300メートルおきに設置されていて、すべり台などで車道の下に移動できます」
車外に出る際には、ゆっくりと車を左側に停め、キーをつけたまま外に出る。その際、住所を車の中に残しておくとなお良い。都市防災に詳しい、まちづくり計画研究所所長の渡辺実氏がいう。
「緊急車両が通る車線を確保する際に、キーを差しておけば移動させやすい。連絡先を書いておけば、移動された車が早く戻ってきやすくなります」
【レインボーブリッジを走っていたら、車外に逃げるか、車内にとどまるか】
「基本的に地震が起これば橋は揺れます。レインボーブリッジも同様で、吊り橋構造といってそもそも揺れるように作られている。車外に出ると激しい揺れで振り落とされる危険があります。もし揺れていると感じたら、ゆっくり減速して左側に停め、車内で待機すべきです」(渡辺氏)
ただし、首都高速道路の高架橋部分を走っている時は別だ。
「レインボーブリッジと違い、阪神大震災の時のように首都高は崩壊する可能性がある。減速、停止までは同じですが、車はほったらかしにして、一刻も早く非常口から下に降りましょう」(渡辺氏)
※週刊ポスト2016年5月6・13日号