三菱自動車の不正問題に絡み、三菱グループの「天皇」から暴言が飛び出した。この教訓から大人はなにを学び取ればいいのか。大人力コラムニスト・石原壮一郎氏が解説する。
* * *
三菱自動車が、またやらかしてしまいました。20日、一部の軽自動車の燃費のデータを長年にわたって不正に操作していたことを発表。その後、発表した以外の車種でもやっていたんじゃないかなど、どんどん話が広がっています。この先、三菱自動車が苦境に立たされるのは間違いありません。まさに火の車。
そんな中、“三菱グループの天皇”と呼ばれた人物から、火に油を注ぐような大胆な発言が飛び出しました。その人は、三菱重工相談役の相川賢太郎氏。てんやわんやの状態にある三菱自動車の社長・相川哲郎氏の父親です。
我が子のピンチに黙っていられなくなったのか、「週刊新潮」のインタビューで(おそらく三菱自動車を擁護するつもりで)こんなことを言ってしまいました。
「あれはコマーシャルだから。効くのか効かないのか分からないけれど、多少効けばいいというような気持ちが薬屋にあるのと同じ」
「買う方もね、あんなもの(公表燃費)を頼りに買ってるんじゃないわけ」
「実際に乗っとる人はそんなに騒いでないと思うんだけどね」
本人の思いとは裏腹に、三菱自動車のイメージをますます悪くする効果しかありません。たしかに、クルマを買って実際に走行したときに、カタログに記載されているとおりの燃費性能が出ないことは“常識”ではあります。だからと言って、最初からウソのデータでいいという話にはなりません。何より三菱グループのお偉いさんであり三菱自動車社長の父親としては、典型的な「それは言っちゃいけないこと」だと言えるでしょう。
しかし、なんせ相手は88歳のおじいさんです。大人としては目くじら立てて非難するより、反面教師として教訓を読み取りたいところ。彼のトホホな暴言は、私たちにこんなことを教えてくれます。
1.「ウソをついた側が開き直ると、ますます相手を怒らせてしまう」
2.「業界内の“本音”は、外に漏らしたり押し付けたりしてはいけない」
3.「自分が偉いと思っている年寄りにしゃべらせるとロクなことはない」