12人に1人がかかるといわれている乳がん。女性にとっては決して他人事ではない、重大な病気であるが、「もしも自分が乳がんになったらどうすれば…」と不安に思う人も多いだろう。さらに、治療費がいくらかかるかも気になるところだろう。そこで、乳がんを経験しているファイナンシャルプランナー・黒田尚子さん(46才)の体験談を紹介する。
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私が乳がんの告知を受けたのは40才のとき。自治体が実施するマンモグラフィー検診(乳房X線検査)を受けたら、見つかりました。
ファイナンシャルプランナーという仕事柄、病気にかかるお金のことも含めて人にアドバイスする機会が多いので、それなりにがんに関する知識があったつもりでした。そんな私でも、やはりがんだと知らされたときは、ショックでしたね。
いちばん気がかりだったのは当時5才だった娘のことです。夫はひとりでもなんとかなるし、自分のこともあまり気にならなかった。やっぱり、頭にあるのは娘のことです。告知から数日は、娘の寝顔を見ては涙がこみ上げてきました。私に限らず、お金の悩みや不安が出てくるのは、治療方針の目途がたってからのことが多いです。
実際にがんの告知を受けると、検査の段階からお金がどんどん出ていきます。まず入院・手術にお金がかかりますし、術後は病状に合わせて抗がん剤治療や放射線治療、ホルモン治療をすればさらに出費が。乳房再建手術、通院時の交通費、ウイッグ代なども必要に。
手術まではこれまでの貯金や、ご主人の給料でなんとかなるかたが多いです。でも手術が終わった頃になって、“いつまでこの出費が続くのか”と心配になってきます。治療は手術だけで終われば短期間ですみますが、抗がん剤治療やホルモン治療をするとさらに半年、最長10年も治療が続くこともあります。
参考までに、私が告知を受けてから約6年の間にかかったお金は約274万円です。そのうち病院に払った医療費は約330万円で、乳房再建費用が163万円です。保険適用外の乳房再建をしたので、高額になりました。
がんにかかるお金はケースバイケース。治療内容によって費用は大きく変わってきますし、羅患した後、収入減少の可能性もあります。
――そもそも乳がん検診はお金がかかる。超音波とマンモグラフィーで約1万円と決して安くない。「まさか私が…」と思っていることもあり、実際日本人女性の検診率は欧米諸国よりずっと低く3割未満。
しかし、検診を受けていると早期発見の可能性が高くなり、結果的に治療期間も短く、再発リスクも低くなる。命が助かるのはもちろん、出費も抑えられるのだ。自宅でのセルフチェックと、年1回の乳がん検診は家族のためにも欠かしてはいけない。
※女性セブン2016年5月12・19日号