抗ガン剤治療を終えた北斗晶(48才)は、全身の毛が抜けてしまったことを明かした。さらに、女優の南果歩(52才)も胃がんが発見された。がんは決して他人事ではない。なかなか知られることはないが、がんの治療を終えた人たちはどんな生活を送っていくのがよいだろうか?
がん手術を終えた人をさらなる壁が待ち受ける。それは日常生活への復帰の難しさだ。厚生労働省の研究班によると、がんと診断されたあと、会社などに勤務した人のうち3割以上が離職している。離職しなくても、治療をしながら仕事を続ける体力があるのだろうか、迷惑をかけないだろうかと不安を抱く人も多い。
国立がんセンター東病院サポーティブケアセンター副室長の坂本はと恵さんは、「それでも仕事は辞めないでほしい」と言う。
「“がんの疑いあり”で当病院に来た時点で、フルタイムで働く女性の約6%がすでに仕事を辞めていました。また、がんと確定診断されて治療の見通しがたったときに、半分近い人が辞めるか迷っています。体力的に自信がないというかたや、中間管理職であるがゆえに仕事量の微調整が難しい、とおっしゃるかたもいます。
でも、再就職は本当に難しい。就職できても非正規雇用が多く、収入が下がってしまうのが実情です」
濱岡ブレストクリニック院長の濱岡剛さんはこう語る。
「仮に抗がん剤治療をしたとしても、半年から1年で一区切り。乳がん患者の多くが元通りの生活を送れるようになるといわれています。そのときに、元の自分の生活のクオリティーを維持できるよう、治療中も元通りの生活を維持してほしいと思っています。仕事だけでなく、家での立ち位置や趣味、近所づきあいなど以前と変わらない生活を極力維持してほしい」
実際に治療中はどの程度仕事ができるのか。もちろん人それぞれだが、南果歩の場合は、主演ドラマ『マザー・強行犯係の女~傍聞き~』(テレビ東京系)の放送を前に復帰。
最近になって、2011年に乳がんと診断され闘病しながら仕事を続けてきたことを明かした生稲晃子(48才)。彼女は手術の後遺症で手がうまく上がらなかったり、ホルモン治療の副作用で汗が大量に出たというが、それでも、仕事は続けられた。
「抗がん剤の点滴は基本的に3週間もしくは1週間に1回、外来で行います。点滴をして3日くらいは倦怠感が出るかたが多く、3日間仕事を休む人、1週間休む人、点滴する日だけ休む人などそれぞれ。吐き気や便秘といったつらい副作用は、事前に薬を処方するので以前に比べて軽減されています。ある程度動いて普通の生活をしてもらったほうがいいのです」(濱岡院長)
※女性セブン2016年5月12・19日号