俳優の宇津井健さんが2014年3月に82歳で逝去して2年。未亡人が苦境に立たされている。当時、内縁関係を続けていた名古屋の高級クラブ「なつめ」のママ・文恵氏と臨終の5時間前に婚姻届を提出し、最期にけじめをつけた“美談”としてメディアを賑わせた。文恵氏が「お互いの遺産は放棄する」と公言したことも感動を呼んだ。
ところが、その後、彼女は「遺産放棄するとは言っていない」と前言を翻し、宇津井さんの遺した都内の2億円豪邸の相続を巡って、宇津井さんの長男とトラブルになっていた。さらに金銭問題は続く。
今年4月15日、文恵氏が代表を務める会社が33億7000万円もの負債を抱え、名古屋地裁に民事再生法の適用を申請したのだ。現地財界関係者がいう。
「彼女のクラブは中部電力やトヨタ、JR東海など名古屋の錚々たる企業のエリート幹部たちが集い、『夜の商工会議所』との異名がつくほどの名門でした。さらに彼らを相手にした高級スポーツクラブなどを運営し、財を成していました。しかし長引く不況で、累積赤字が膨らみました。倒産したのは、このスポーツクラブを運営する会社です」
入籍当時、文恵氏は“財産目当て”という穿った見方を「私の方が財産があると思います」と否定してみせた。しかし、巨額の負債から、文恵氏の懐具合を危惧する声も聞こえてきた。
「『なつめ』自体は別会社なのでクラブの運営には影響はないと言われていますが、あれだけの負債は一朝一夕で作れるものではない。宇津井さんと結婚する前から、文恵さんの経済状況は苦しかったと話す財界関係者は少なくない」(同前)
現在の心境を聞こうと文恵氏に接触を試みたが、会社に問い合わせても、
「わかる者がいません」
と繰り返すのみ。文恵氏の自宅はインターホンが切られているようで、応答はなかった。遺族の相続トラブルに続く文恵氏の苦境に、亡き宇津井さんは草葉の陰で何を思うだろうか。
※週刊ポスト2016年5月20日号