もしも、「人生最後の日」に何かを食べなら? そんな問いかけに、中国四川料理の料理人、日本中国料理協会会長・陳建一さん(60才)から返ってきた答えは、「自宅で作る回鍋肉」。
「この料理が最後なら文句ない。おじいちゃんが大好きだったの。家でチャチャッて、よく作ってくれて。今の季節は新しょうがをたっぷり入れるんだけど、旬の食材を入れて1年中食べてるね。秋にはきのこなんかも旨いよ。ご飯にもバッチリ合うしね。俺にとっては卵かけご飯みたいな位置づけだな。週に1回は自分で作って食べてるよ」
豚肉好きの陳一家がこよなく愛する料理。油っこい料理だからと気遣う娘(陳さんの母)の心配をよそに、「お母さんには内緒」と祖父は陳さんに口止めし、隠れて食べていたという。
「1日3食、毎日何を食べようかとワクワクする。最後の晩餐なんて考えたこともないけど、病気になっちゃったら食べられないでしょ」と陳さん。「病院にも入らないで、完食して、ぽっくり逝くのが理想だね。食べてる途中で息絶えちゃうのだけは嫌だな」と笑った。
撮影■玉井幹郎
※女性セブン2016年5月12・19日号