6年前、志和口(しわぐち)駅に1匹のオス猫が現れた。人懐こい彼は駅を利用する人たちに愛され、あるとき「この猫は顔もええし、猫駅長にしたらどうじゃろうか」という声があがり、駅長に就任。制帽をかぶって乗降客を見守るようになったのである。
「最初は、近くに毛利元就の郡山城趾があるけぇ、『もとなり』になりかけたんじゃが、凛々しい顔が坂本龍馬に似とるいうて、この名になったんじゃ」
りょうま駅長を盛り立てているのは、有志で結成された『りょうまを見守る会』の人々で、会員数は約60名。中には“元志和口駅長”の会員もいて、業務指導はバッチリだ。
「志和口駅は、一日の利用客が600人ほどの小さな駅じゃけぇ、だいたいが顔見知り。でも最近、遠くからわしに会いに来たっちゅう人たちがようけおるんじゃ」
そう、数年前からインターネットやテレビでたびたび取り上げられるようになった彼は、一躍有名猫に。全国放送のテレビに出た週末は100人を超える人がりょうま駅長をひと目見たいと足を運び、4月15日にはついにその数が1万人を超えた。
「ありがたいことじゃのぅ。え? ついでに観光したい? うーん、まぁ、駅周辺にゃ何もないけぇのぅ。帰りにゃ宮島や原爆ドームに寄ってみんさい。お好み焼きも食べて帰りんさい」
【プロフィール】
名前:りょうま ♂
年齢:11歳(推定)
種類:猫
勤務先:JR西日本芸備線・志和口駅(広島市)
職種:志和口駅・駅長
主な仕事内容:志和口駅を利用する人と、会いに来られた人の癒しになること。地域に明るい話を提供し、活性化すること。
お給料:基本的に奉仕活動じゃけぇ、なし! 食べものはみなさんからの差し入れ。
好きなこと:駅周辺の巡回パトロール。
嫌いなこと:嫌いやないけど、小さいお子さんはちょっと苦手なんよね。
現在の悩み:わし自身には悩みはないけど、みんなは「変なもの拾い食いせんか」って心配しよるね。
将来の夢:わしに会いに来てくれる人が2万人を超えるまで元気でがんばりたい!!
撮影■山口規子
※女性セブン2016年5月12・19日号