元巨人の笠原将生・容疑者(25)が賭博開帳図利幇助容疑で逮捕された2日後。同じく野球賭博問題で巨人を契約解除された松本竜也(23)の香川県にある3階建ての実家の前で、父・泰記氏を直撃した。
「いま、取材はすべてお断わりしています。本人がいくらマスコミを通じて野球を続けたい、メジャーでやりたいと言っても、現状ではマイナスの印象しか持たれないですから。父親としての思いは、どうして高木(京介)だけが1年(の失格処分)で、息子は無期なのか。私も直接、巨人側の担当者と話をしましたが……決定権を持つのはNPB(日本野球機構)ですよね」
昨年10月の事件発覚後、笠原と松本、福田聡志の3人は巨人を契約解除になり、NPBから無期失格処分を受けた。一方、今年3月になって賭博への関与を認めた高木は契約解除になったものの、NPBは1年という有期の失格処分に留めた。
松本家に近しい支援者の一人が、泰記氏の言葉を補足する。
「常識的には後になって罪を認めた高木の処分が重くて当然でしょう。それなのに巨人は高木だけ謝罪会見の場を与え、事件発覚後には(星稜高校の先輩である)松井(秀喜)とも会わせて、心証を良くしようとした。名門出身で一軍実績のある高木と、田舎の無名高校出身で一軍経験のない竜也。その扱いの差に悔しい思いはありますね。
しかも、仮にNPBの無期失格処分が解けても、野球協約では最後の所属球団の許可がない限り、別の球団に所属することはできない。今後も巨人との交渉が重要になってくる」
現在の松本は、泰記氏の知人の会社で警備や住宅リフォームの仕事に就き、野球界への復帰も諦めてはいないという。泰記氏は今後、弁護士を雇って、巨人との交渉にあたる構えだ。
「息子を守ろうとしない親はいないでしょう。そのために高い弁護士費用を払うんです」(泰記氏)
笠原容疑者を逮捕した警視庁組織犯罪対策4課は、松本、福田、高木の3人を書類送検する方針だ。NPBや巨人は、事件が収束に向かうことを期待しているようだが、この先、処分を受けた当事者たちの“反撃”が始まるのかもしれない。
●取材・構成/柳川悠二(ノンフィクションライター)
※週刊ポスト2016年5月20日号