言い方を少し替えるだけで、相手への伝わり方、印象が変わる言葉遣いというものがある。著書に『美しい日本語の作法』(小学館)などがある小笠原流礼法宗家の小笠原敬承斎さんが厳選。まずは、声に出して読んでみましょう。
「品格を上げる言葉は、若い頃は使うことに抵抗があっても、年齢を重ねるとますます似合うものです。ぜひ日常会話から使っていただきたいです」(小笠原さん)
その際に、気をつけるべきは声のトーンだという。
「“失礼しま~す”と語尾を伸ばすと、途端に軽く子供っぽい印象に。また、語尾を上げると疑問形になり、これもスマートではありません。自分の発した言葉を見届けるイメージでゆっくりと話し、語尾は余韻をもって切る。これだけで落ち着いた印象を与えます」(小笠原さん)
◆「そうですか」→「左様でございますか」
左様は「然様」とも書き、然るべき、その通りという意味が。相手への受け答えや、相槌に使って。
◆「忘れました」→「失念いたしました」
いい加減な印象がやや薄まる。忘れたことを詫びる気持ちを込めて、潔く伝えることも大切。
◆「ちょっとお待ちください」→「少々お待ちください」
「ちょっと」はくだけた印象を与える。相手を呼ぶ時にも使いがちなので、控えたい。
◆「楽しみにしています」→「心待ちにしております」
「楽しみ」よりも、さらに一層、待ち遠しく焦がれる印象に。
◆「わかりました」→「得心いたしました」
心から納得した、理解したという意味。より丁寧で信頼感も増す。
◆「できません」→「いたしかねます」
丁寧語で伝えることで、相手を思いやる気持ちが含まれる。
◆「思います」→「存じます」
知る、思う、考えるの謙譲語。手紙やメールで使いたい。
◆「わかってください」→「お含みおきください」
相手に同意を求める言葉だが、慎み深く押しつけがましくない。
◆「大丈夫です」→「差し支えございません」
「問題ございません」よりもさらに丁寧で、品のある印象に。
◆「わかりません」→「わかりかねます」
上品な雰囲気に格上げされる。「存じません」を使っても◎。
◆「勘弁してください」→「ご容赦ください」
大めにみてくださいという意味だが角が立たない言い方に。
※女性セブン2016年5月12・19日号