ベッキー(32才)に始まり、宮崎謙介元衆議院議員(35才)、乙武洋匡氏(40才)など、“不倫year”のなか、今クールのテレビドラマが巷で話題になっている。
「狙ってやっているとしか思えない」(42才主婦)
「ちょっと多すぎますよね」(38才主婦)
彼女たちが俎上に載せているのは「不倫ドラマ」の数。『不機嫌な果実』(テレビ朝日系)、『毒島ゆり子のせきらら日記』(TBS系)、『コントレール~罪と恋~』(NHK)、『僕のヤバイ妻』(フジテレビ系)と、実に4本が同時に放送中なのだ。マザコン夫に悩む妻、新聞社政治部記者の独身女性、事故で夫を亡くした未亡人妻、資産家の女性と結婚した夫、など倫ならぬ恋にハマる主人公は多種多様。
ネット上には、《“不倫=大人の恋愛”のように美化して描かないで》《夫を寝取られた妻の気持ちにもなってみろ》など、“不倫賛美反対”を叫ぶ声が噴出し、1つの騒動になっている。
現実に目を向けてもベッキーはテレビから姿を消し、宮崎元議員は議員辞職、乙武氏は参議院選出馬を見送った。どれもこれも、世論の“不倫バッシング”の風当たりが強かったからだろう。
不倫は悪、許されないもの──不倫した有名人たちはまるで“社会不適合者”のように、公の場から姿を消していく。数々の恋愛マンガを世に送り出し、「恋愛の神様」ともいわれる漫画家の柴門ふみさんが言う。
「今年に入ってからの不倫バッシングは、あまりに過剰です。ベッキーさんや乙武さんなど、自分が描いていたイメージを裏切られた怒りを持つ人や、なにかしら社会に不満を持っている人が“不倫”という大義名分を使って発散しているだけではないでしょうか。不倫を叩いている女性は、不倫経験のない人がほとんど。だけど、裏返せば興味はある。自分にできない楽しそうなことをしているから、腹が立つんです。関心があるからこそ、過敏に反応してしまう」
彼女の言葉を証明するように、一連の不倫ドラマの視聴率は軒並み好調だ。『不機嫌な果実』は初回視聴率が同時間帯1位という好発進。『毒島』も24時放送ながら第3話で視聴率3.8%を記録し、TBSの同時間枠ドラマ史上最高の数字となった。
「要するに、皆さんどこかで不倫に憧れている部分があるんです。若い時は“初めて経験すること”がたくさんあるけど、年を重ねると“二度とできなくなること”が増えてくる。恋愛やキス、セックスもそうでしょう。自分の年齢への不安や焦り、いつまでも女でいたいという秘めた欲求が、彼女たちの目を不倫ドラマに向けさせているんです」(柴門さん)
劇中に現実を重ねて女はどよめき、笑い、涙する──テレビ画面の向こうにあるのは、世人の潜在意識が具現化した世界だったといえる。
※女性セブン2016年5月26日号