離婚は夫婦が互いに納得して決めるもの。しかし、専業主婦にしてみれば、経済的基盤を失いかねないわけであり、離婚後の生活をしっかりフォローしたうえで決断する必要がある。そうなると、まず離婚をするにあたって、どんな経済状況であるかをしっかり把握しなくてはならない。
婚姻時に築いた財産は夫婦共有のものとみなされ、たとえ夫名義の預金でも、法律上半分ずつ分けられる。まずは“もらえる財産”がどのくらいあるかを確認しよう。離婚カウンセラーの池内ひろ美さんは言う。
「住宅ローンを払っている場合は、残債と売却価格を調べて。残債が多ければ、もらっても損。売却価格が高ければ、もらって住み続けるか、売ったお金を分けてもいいですね」(池内さん)
お金は預金のほか、株、財形など、誰の名義でそれぞれいくらあるかをチェック。夫から毎月生活費をもらってやりくりしている場合、家計の全貌がわかっていないことが多いので注意が必要だ。
「夫が家計を握っている場合、大事な書類を隠される可能性が。夫の年収を知らない、給与明細を見たことがない状態だと、懐状況を探りようがなく危険です」(池内さん)
会社員の場合、給与明細をもらっておけば、財形の有無や年収がわかる。夫の収入がわからない場合は、市区町村役場で所得証明書を出してもらう手もあるが、預金まで調べるのは難しい。普段から家計は共有しておこう。
では、夫の財産を把握するための方法を「不動産」「預金」「保険」「その他」の4つについて説明する。
■不動産
ローンの残債は銀行から送付された書類、売却価格は不動産の仲介業者に査定を依頼すればわかる。「売却した方がスッキリ別れられますが、子供がいて住み続けたい場合は慎重に検討を」(弁護士の柳原桑子さん)。
■預金
夫名義でも、婚姻中に作った口座は夫婦共有の財産。逆に自分名義の預金も分けないといけないと考えて。独身時代に貯めたお金や、親から相続した資産は分けなくてよいので、夫に取られたくないなら区別して管理しておくべき。
■保険
学資保険や養老保険など、貯蓄型の保険は契約者と解約返戻金がいくらになるかを調べよう。住宅を売却する場合、ローンの残り年数に応じて火災保険の返戻金もあるので忘れずに確認を。
■その他
夫が会社員の場合、厚生年金から、婚姻期間中の記録の最大2分の1を分割できる。年金事務所に「年金分割の情報通知書」をもらうと具体的な金額がわかる。
※女性セブン2016年5月26日号