芸能

大石静氏 今の時代は「壁」が少ないため恋愛ドラマ難しい

『コントレール~罪と恋~』の脚本を担当する大石静氏

 40代の女性と、夫を殺した男との禁断の恋を描くドラマ10『コントレール~罪と恋~』(金曜22時~・NHK総合)が注目の的だ。

 脚本を担当している大石静さん(64才)は、いうまでもなく、『セカンドバージン』など、数々のヒット作を手がけてきたラブストーリーの名手だ。そんな彼女に、今、禁断の恋を描く胸の内を聞いた。

「タブーもなければ欲望も薄い今という時代にラブストーリーを書くのはむずかしい」

 そう、率直に言う大石さん。

「今って、恋愛を阻む困難もないじゃないですか。昔なら恋人に電話をしても、まずは親が出て取り次いでもらわなければならなかったし、待ち合わせをしても会えないことだってありました。でも、今は、どこにいても電話やメール、LINEですぐに連絡が取れるから、ふたりの壁になるものが少ないんです。

 だから、ドラマにはなりづらい…。それでも、あえてラブストーリーを描いているのは、人間の本質に迫りたいという思いがあるからです」

 主人公の文(石田ゆり子)は、無差別殺人事件で夫を失ったシングルマザー。その夫が不倫していたこともわかり、苦しみに沈む。そんな中、かつて夫を殺めてしまった瞭司(井浦新)と、それとは知らず、激しい恋に落ちる。

 先の読めないスリリングな展開に、一瞬も目が離せない。そんなドラマチックな物語は、ドラマのセリフを忠実に再現したノベライズでも味わえる。大石さんがいう「タブー」というのは、ドラマの発端に描かれた無差別殺人だ。

「このところ無差別殺人事件のニュースを、よく耳にしますよね。それで、これをきっかけに何か書けたらと思っていたのですが、“ドラマ10の枠で”、という依頼を受けて、ぐぐっと煮詰まったんです」

 同じ枠でこれまでにも大石さんの作品は、『セカンドバージン』(2010年)、『ガラスの家』(2013年)と大きな話題を提供してきた。したがって今作はシリーズ第3弾となる。

 『セカンドバージン』では17才年下の男性と恋に落ち、その年齢差におびえる女性を、『ガラスの家』では再婚相手の息子と禁断の恋に落ちる女性をヒロインに設定し、大きなタブーの前に、愛とは何か、ひいては生きるとはどういうことかを、視聴者に問いかけてきた。

「恋愛って、甘美でもあるけれど、試練もあると思うんです。なぜなら恋愛って、自分が人生で何を選択するかを、突きつけられるじゃないですか。そういう意味で、ただ甘美なだけとは違う。若い時の欲望に任せた恋や、おいしいものを食べて、軽くエッチするだけのような上っ面な恋もあるけれど、人生の憂さを知り、生きることの哀しさを知った大人の恋は、より切実です。まして、誠実に、深く愛し合うともなれば、楽ではないと思います」

※女性セブン2016年5月26日号

関連記事

トピックス

筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(撮影/JMPA)
悠仁さま入学から1か月、筑波大学で起こった変化 「棟に入るには学生証の提示」、出入りする関係業者にも「名札の装着、華美な服装は避けるよう指示」との証言
週刊ポスト
藤井聡太名人(時事通信フォト)
藤井聡太七冠が名人戦第2局で「AI評価値99%」から詰み筋ではない“守りの一手”を指した理由とは
NEWSポストセブン
日曜劇場『キャスター』で主演を務める俳優の阿部寛
阿部寛、小泉今日子、中井貴一、内野聖陽…今春ドラマで「アラ還の主演俳優がそろい踏み」のなぜ?
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン
米利休氏のTikTok「保証年収15万円」
東大卒でも〈年収15万円〉…廃業寸前ギリギリ米農家のリアルとは《寄せられた「月収ではなくて?」「もっとマシなウソをつけ」の声に反論》
NEWSポストセブン
SNS上で「ドバイ案件」が大騒動になっている(時事通信フォト)
《ドバイ“ヤギ案件”騒動の背景》美女や関係者が証言する「砂漠のテントで女性10人と性的パーティー」「5万米ドルで歯を抜かれたり、殴られたり」
NEWSポストセブン
“赤西軍団”と呼ばれる同年代グループ(2024年10月撮影)
《赤西仁と広瀬アリスの交際》2人を結びつけた“軍団”の結束「飲み友の山田孝之、松本潤が共通の知人」出会って3か月でペアリングの意気投合ぶり
NEWSポストセブン
田村容疑者のSNSのカバー画像
《目玉が入ったビンへの言葉がカギに》田村瑠奈の母・浩子被告、眼球見せられ「すごいね。」に有罪判決、裁判長が諭した“母親としての在り方”【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
アメリカから帰国後した白井秀征容疑(時事通信フォト)
「ガイコツが真っ黒こげで…こんな残虐なこと、人間じゃない」岡崎彩咲陽さんの遺体にあった“異常な形跡”と白井秀征容疑者が母親と交わした“不穏なメッセージ” 〈押し入れ開けた?〉【川崎ストーカー死体遺棄】
NEWSポストセブン
赤西と元妻・黒木メイサ
《赤西仁と広瀬アリスの左手薬指にペアリング》沈黙の黒木メイサと電撃離婚から約1年半、元妻がSNSで吐露していた「哺乳瓶洗いながら泣いた」過去
NEWSポストセブン
元交際相手の白井秀征容疑者からはおびただしい数の着信が_(本人SNS/親族提供)
《川崎ストーカー死体遺棄》「おばちゃん、ヒデが家の近くにいるから怖い。すぐに来て」20歳被害女性の親族が証言する白井秀征容疑者(27)の“あまりに執念深いストーカー行為”
NEWSポストセブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《永野芽郁のほっぺたを両手で包み…》田中圭 仲間の前でも「めい、めい」と呼ぶ“近すぎ距離感” バーで目撃されていた「だからさぁ、あれはさ!」
NEWSポストセブン