人間の知覚の8割以上は視覚によるとされるだけに、体が元気でも目が見えなければ人生の楽しさは8割減になると考えることもできる。
厚生労働省の調査(2008年)では、失明した人のうち、緑内障の割合が20.9%にのぼり、日本緑内障学会の大規模疫学調査「多治見スタディ」によれば、推定患者数は400万人、40歳以上の20人に1人が発症。『緑内障の最新治療』(時事通信社)の著者で、彩の国東大宮メディカルセンター眼科部長の平松類氏によれば、日本人の失明原因の1位は緑内障だという。
そんな緑内障ではあるが、最近では、最近では予防に効果があるとされる食品が明らかになってきている。
今年1月、米ハーバード大学医学部とブリガム&ウィメンズ病院の共同研究チームが興味深い研究結果を発表した。ホウレン草やレタスなど青菜類を毎日食べると、緑内障になるリスクが減るというのである。研究を主導したブリガム&ウィメンズ病院のジェヒ・カン医師がいう。
「青菜類を最も多く食べていたグループでは、最も少なかったグループに比べ、緑内障リスクが20~30%低減していました。緑内障患者は視神経への血流が悪くなっていますが、青菜類には血流を良くするとされる硝酸が多く含まれているので、それでリスクが下がったのだと考えられます」
日本でも緑内障予防に関する様々な研究が行なわれているが、中でも注目されているのが最近、健康食品として話題の果物のカシスだ。前出・平松氏はこう語る。
「札幌医科大学の緑内障患者に対する臨床試験で、2年間にわたって毎日カシスを摂取した人とそうでない人では緑内障による視野障害の進行に2倍の差があったという結果が出ています。カシスに含まれるカシスアントシアニンという抗酸化物質は神経へのダメージを抑え、血流を改善することから、進行の抑制だけでなく予防にも効果があると考えられる」