7月の参議院議員選挙を前に、待機児童問題以外にも、憲法改正や安保法など私たちの生活と命にかかわる喫緊の課題が山積みだ。政治は私たちの声にどう応えるのか? 待機児童問題で安倍首相を国会で追及した民進党の政調会長・山尾志桜里議員(41才)を直撃した。
――待機児童問題で政府が緊急対策を発表したが、この先、何が必要だと思うか?
山尾「私も5才の息子の母親ですが、今は子育て世代の両親まで含めたサポートがないと共働き夫婦が子供を育てるのは現実的に難しい。大切なのは、働いていると子供の寝顔しか見られない世の中を変えることです。保育園の送り迎えをする若いパパが増えているのは希望ですが、さらに子育てと仕事が両立できる社会にするため、長時間労働の規制などの法案を準備しています」
――働く女性の中には、選択的夫婦別姓を求める声がある。通称使用も広がっているが、それでも困るという声を聞くことはあるか?
山尾「実際に働く女性にとって通称使用はとても不便です。職場では公的書類が届きにくいし、一人っ子同士の結婚が増えるなか、なぜ片方が姓を変えるのかという根本の問題もある。働く女性のためにぜひ認めるべきですが、自民党は“夫婦別姓で家族の絆が壊れる”と消極的です。
姓が違うと壊れるほど家族の絆はもろくないので、もっと日本の家族に誇りを持ってほしい」
――ご自身はなぜ夫の姓にしたのか?
山尾「結婚当時、周りは夫の姓に変える妻がほとんどでした。当時、選択制があれば、別姓を選んでいたでしょうね」
――原発再稼働が進められ、不安を覚える国民も多い。民進党はどんな政策を打ち出す?
山尾「私たちは民主党時代に『2030年代までに原発ゼロ』と決めました。民進党もこのゼロ方針を崩さずに前進します。野党時代、原発について沈黙した自民党が政権奪取後、原発を推進するのは本当に悔しいし、子供たちに原発を残すわけにはいきません」
――安全保障政策には女性の関心も高い。とくに安保法についてはどう考えるか?
山尾「確かにテロや中国、北朝鮮の動向は心配ですが、安倍さんはリスクを単純化して、“こんなに危ないから集団的自衛権が必要だ”と強弁する。でも、海外に自衛隊を派兵すれば日本がテロの標的になる可能性が高まるし、周辺の脅威に対しては、憲法の枠内で対応できます。
私たちは憲法さえあれば安全とは考えておらず、憲法を守りながら新しい法律で危機に対応します」
――参院選を前に、民進党に期待する声は残念ながら大きくはない。政権交代の受け皿になり得るか?
山尾「他の受け皿があれば支持する人はたくさんいるのに、それを提供できていない。私たちが訴えたいのは、やはり平和と未来です。憲法は国民が国にあてたお手紙で“最低限これだけは守ってください”というもの。その憲法の解釈を政府が勝手に変更することは許されません。戦争に子供を送り出したくないというママの願いを守ることと、雇用や子育ての不安を解消して、子供たちが安心して暮らせる平和な未来を築くのが使命だと考えます」
撮影■玉井幹郎
※女性セブン2016年5月26日号