「東大史上最強左腕」であることは、もはや疑いようがないだろう。東大の3年生エース・宮台康平(20)が、5月7日の東京六大学春季リーグ・立教戦第1日で5安打完封をマーク。今年のドラフトでプロ注目の立大・澤田圭佑に投げ勝ち、東大に2005年秋以来の完封勝利をもたらした。
いわゆる「野球エリート」がひしめく他大学を抑えてきただけに、評価はうなぎ登りだ。巨人V9時代のエースでスカウト経験もある野球評論家・城之内邦雄氏がいう。
「楽天の松井裕樹のような躍動感あるフォームで、伸びしろが十分ある。スタミナ不足を解消し、ストレートとカーブ以外でも確実にストライクが取れるようになれば、十分プロで通用するでしょう」
まだ3年生ながら俄然プロ入りの期待が高まる。しかし当の本人は、「先のことは考えていない」と、進路を明確にしていない。宮台の「本音」を東大関係者が明かす。
「もちろんプロを視野に入れているでしょうが、別の進路も捨てがたいと思っているようです。それは国家公務員総合職合格、いわゆる国家I種キャリアへの道です。本人は“国を動かすような大きな仕事をしたい”と常々いっている」
宮台は神奈川の名門・県立湘南高では3年の甲子園予選で東海大相模に惜敗した後から本格的な受験勉強を始めたにもかかわらず、東大文系最難関の文Iに現役合格。現在も法学部で司法試験組やキャリア官僚志望者と机を並べている。
「野球部の練習がハードでも勉強を疎かにしないのは、父・忠さんと湘南高時代の恩師・川村靖監督の影響なんです。忠さんは神奈川の名門、県立横浜翠嵐高で捕手・主砲として活躍。プロも注目した逸材ながら、教師になる道を選んだ。今は県立上矢部高の野球部部長です。
川村監督は、静岡の県立富士高で甲子園に出場し、高知高と延長戦を投げ合った。その後、横浜国立大に進んで教師になっている。この2人が、宮台君に“プロ野球選手になって同時に司法試験か国家I種も取れ”とハッパをかけているらしい」(湘南高関係者)
日本ハムの大谷翔平を上回るスケールの二刀流選手が登場する可能性は高い。
※週刊ポスト2016年5月27日号