腰を痛めて2月から米ツアーを離れ、日本で治療とトレーニングを続ける石川遼(24)に代わって、彼の「弟」に注目が集まっている。
弟の航君(わたる・16)が今月1日まで群馬県で行なわれた「スプリングジュニアゴルフ選手権」で優勝し、8月25日に福岡で開催されるプロツアー「RIZAP KBCオーガスタ」の出場権を獲得したのだ。
かつて遼は弟を「俺よりパターが上手い」と評したこともあり、活躍が期待されるが、兄弟の父であり、コーチとして遼をトッププロに育て上げた石川勝美氏は「ゴルフの腕は遼ほどではない」と冷静だ。その上でこう語る。
「ただ、航は勉強も得意なので、将来はプロゴルファーでも、勉学の道に進んでも良い。そういう意味で選択肢は広いですね」
実は高校2年生の航君が通うのは全国屈指の公立進学校、県立浦和高校。今年も22人の東大合格者を輩出し、OBには三井住友銀行の國部毅頭取や作家の佐藤優氏らがいる。兄はゴルフ名門校である杉並学院高校出身だが、なぜ弟はゴルフ部のない超進学校を選んだのか。
「実は、ゴルフ部が整った有名私大の附属高校にも合格したが、本人の意思で自由な公立高校を選択したんです」
そう語る勝美氏は、兄との最も大きな違いは「友人関係」にあったと話す。
「遼はジュニア時代からトップクラスの選手と仲良くなって切磋琢磨していった。競い合える優秀な友人が多いほど子供は伸びるものです。航は中学で1番成績が良い子と仲良くなったことで数学を好きになり、成績がドンドン上がった。良い先生との出会いも大きかったですね」
さて、3か月後にプロツアーデビューを控える航君の今後はどうなるのか。
「高校では文芸部に入って小説を書いている。文化祭の時に小冊子になりましたが、なかなかのものですよ(笑い)。勉強もゴルフも親に押しつけられることなく頑張っています」(同前)
末はプロゴルファー兼ベストセラー作家か。ともあれ、お兄ちゃんも頑張って。
※週刊ポスト2016年5月27日号