今、テニスプレイヤーのノバク・ジョコビッチ(28)も実践し、欧米で大流行中の健康法が日本でもブームとなっている。「グルテンフリー」という小麦を摂取しない食事法で、頭痛、めまい、下痢など、様々な体調不良が改善されるという。
グルテンは、さまざまな食品に含まれている。管理栄養士でダイエットカウンセラーの伊達友美氏が言う。
「パンやパスタ、ラーメンやうどんなどは分かりやすいのですが、ハンバーグや市販のカレールーにも“つなぎ”として小麦が使われています。味噌やドレッシングなどの調味料にも含まれていることが少なくありません」
そうなると何を食べればいいのか悩んでしまうが、日本古来の食生活に回帰すればいいと伊達氏が続ける。
「まず主食をお米にしましょう。お米にはグルテンが含まれていませんし、アレルギーもほとんどない。焼き魚や煮物などを合わせた和食なら、簡単にグルテンフリーを実践できます」
グルテンフリーは日本人の食文化と親和性が高い。『2週間、小麦をやめてみませんか?』(三五館)の著者でグルテンフリーライフ協会理事のフォーブス弥生氏も、和食の利点について、こう語る。
「醤油などにも小麦が使われていることがありますが、調味料の原材料に注意さえすれば、ほとんどの和食がグルテンフリー食となる。世界無形文化遺産に登録された和食の世界に誇るべき特徴の一つです」
近年流行していた糖質制限などの健康法は、お米のほか大半の炭水化物の摂取がNGとされていた。その点、グルテンフリーは、小麦類以外の炭水化物は食べられるので、ハードルが高くないという声も聞こえる。
小麦類は代替メニューがすぐに用意できることも利点だという。
「焼きそばはビーフンに、ラーメンはフォーやはるさめに置き換えれば、同じ麺類を味わえます。そばは、“つなぎ”が入っていない十割そばならOKです。
小麦が使われることが多い菓子類も、どら焼きの代わりに大福や羊羹を、クッキーの代わりにマカロンを食べれば、甘いモノが食べられないことで起こる禁断症状が出ることも少ないでしょう」(伊達氏)
どうしてもパンが食べたいなら、米粉パンや大豆粉パンという選択肢もある。お酒は麦焼酎はもちろん、麦芽を使っているビールも飲めないが、ハイボールは飲んで大丈夫。麦類を原料とするウィスキーは蒸留過程でグルテンはほとんど取り除かれているからだ。
小麦は厚生労働省によりアレルギーの原因物質のひとつとして、表示が義務付けられているため、購入前に容易に確認できるだろう。
※週刊ポスト2016年5月27日号